惑星ロボダンガードA 全話解説
第53話 愛!それは哀しく美しく

脚本:馬嶋満 演出:芹川有吾 場面設定:荒木伸吾 作画監督:姫野美智


 ヘチ副総統を失って兵士達の士気は今一つ。ドップラーが演説をする中で二人の女兵士の姿があった。ジュディとミラー。親友だったフリーゼの敵を撃とうと決死隊を結成し戦いに挑もうとしていた。フリーゼが出撃する少し前。フリーゼは二人に出撃からの全てを告げられていたのだ。ドップラーは彼女らの勇気を称えるが、出撃の許可は許さなかった。女同士の友情は時に男同志の友情よりも強く、美しく、そして盲目的なのだ……。
 ジュディはフリーゼの最期がジャスダム側の面々に惨殺されたものだと思いメカサタン・デスコブラーで出撃しようと考えていた。許可は出ていなくても無断でだ……。ミラーは止めようとするがジュディの熱意は本物で、ミラーも出撃する事を選んだ。フリーゼの遺影と共に……今、デスコブラーが二人の手で発進された。ハーケンはこれを止めようするが女の気持を知らないと言われてしまい、ドップラーからの撃墜命令で放ったミサイルも彼女達はかわした。これをきっかけに思わぬチャンスがつかめるのではないだろうか。ドップラーは彼女とハーケン特別隊で一大作戦を展開しようとしていた。

 一方タクマはフリーゼの事が頭から離れられず落ち込んでいた。そして果てなく続く戦いをむなしく思っていた。その頃付近の小惑星を調査しに来たスペースアローがデスコブラーに襲われ、墜落してしまった。辛うじて無事だったリサだがジュディに銃を突きつけられてしまった。

 リサを捜索しに向かったサテライザーだが既に彼女はいなかった。一方ジュディにリサはフリーゼの最期を告げるように言われるが、真実を話しても信用してもらえない。だがリサは二人に告げる。フリーゼはタクマに心を奪われてしまったのだと。信じられないミラーだがジュディはタクマを捕まえれば真実が分かるのではないだろうかと考えを変える。

 そしてジュディからの通信がサテライザーに届いた。リサを救うためにポイント7へ単身で向かうタクマ。そして単身で乗り込んだタクマはジュディ、ミラーと対面する。自分との交換という形で彼女は解放されるがタクマは万一二人が隣接したところを攻撃するのではないかと予測して慎重に接触を図る。一方ミラーはミサイルを発射しようとするがジュディはあくまでも正々堂々勝負をつけるつもりだ。

 だがハーケン特別隊の攻撃が彼女達の目的を阻んだ。一騎打ちを邪魔されて怒るジュディだがハーケンは裏切り者である彼女達を攻撃しようとする。そこに秀人のサテライザーが登場して事なきことをえたタクマとリサ。ハーケン特別隊が撤退し、ダンガードAに変形してデスコブラーとの一騎打ちが始まろうとしていた。だがパイロットが少女二人と聞いて秀人は思わず戦意が揺れてしまう。デスコブラーは二人の操縦で上下に分離して時間差攻撃を仕掛けてくる。だが彼女達に予想外の事態が襲った。なんと盗難防止のために仕掛けた自爆装置がドップラーによって作動してしまったのだ。どうやっても脱出不可能。だがフリーゼの最期が分かればそれでよかったのだ。

「もう一度フリーゼに会える!」
アイブレッサーライトを直撃して火の玉になったデスコブラーはダンガードAへ特攻し彼の左腕を破損させたが、二人は機体の中で果てた。

「あいつら……ダンガードAと刺し違えようとした……何故なんだよ!!」
秀人の叫びが宇宙に響く。ダンガードAに大損害を与えたジュディとミラー。女の友情と愛がダンガードAに勝ったのかもしれない……


ダンガードAはロボット×百合アニメの始祖!?

 いやぁとんでもない発言すみません。ロボットアニメ×百合要素といえば神無月の巫女を思い浮かぶ方が多いと思いますが、ダンガードAはその先駆けだったのでしょうね〜今回のエピソードだけですが。さすがにロボットと百合を前面に押し出した作品はその神無月の巫女死か名無しは思い浮かばなかったのですが、トップをねらえ!のおねえさま関係やゴーダンナーにも百合カップルはいました。それから、それから……(早くも苦しくなってきたので以下省略)

 とまぁ今回のエピソードはある意味時代を先取りしていたと言う事です!それはさておき今回の担当演出家故・芹川有吾さんは東映ロボットアニメファンにとっては勝間田具治さん、明比正行さんに並ぶ巨匠。東映ロボットアニメにおいてハイクオリティーな作画に並ぶセールスポイント・メロドラマ演出に定評がある方々です。いや60年代から80年代までの東映アニメファンでもあぁ芹川さんか!と思う人も多い方です。

 少女もの、ギャグもの、バトルものと数々の作品をこなす実力派の方でして、ロボットアニメにおいても多彩な作風を披露しています。マジンガーZでは、記念すべき第1話「驚異のロボット誕生」、よくバラエティ番組で取り上げられる「謎のロボットミネルバX」、ボスボロットデビュー回「ボスボロット戦闘開始!」、スパロボの乗り換えシステムの起源になった「甲児ピンチ!さやかマジンガー出動!」、大人のメロドラマ回「泣くな甲児!十字架にかけた命」などなど。鋼鉄ジーグでは、タケルとの一騎討ちが印象的な「蘇れ!!運命のハニワ幻人」、大空魔竜ガイキングでは、屈指のギャグ回「宇宙から来た幽霊船」、屈指のメロドラマ回の一つ「バラの宇宙船」などなど。おっと、隠れた短編傑作「宇宙円盤大戦争」もこの方です。

 この回が芹川さんにとって最後のロボットアニメになりますが、今までの芹川テイストが凝縮されたような回。芹川さんがお得意としているメロドラマ要素はもちろん、コメディテイストも抑えていて、秀人を3枚目に落としてコクピット内でコミカルに表情を崩したり、突っ込んだり。秀人の意外な一面が拝めます。もちろんジュディ、ミラーもフリーゼへの女の友情に殉じた悲劇のヒロインとして仕上がっており、最期のシーンは心にきます。女同士の友情にリサが介入できたのもポイントです。

 ちなみにロマンアルバムにおいて芹川さんのインタビューが掲載されていました。どうやら番外編のエピソードらしく、タイトルから少女漫画っぽいので思いっきりその手でやったそうです。コンテの際本人がかなりやりすぎたらしく……最期の特攻シーンを荒木さんに描き直してもらったそうです。自重してしまわれた程とは……本来どんな画面になっていたか気になります。
 また、ハーケンが嫌いだったそうで、秀人にキザ野郎と言わせた所がクスっときました。


今回の突っ込み

ただ今回第51話(フリーゼの回)の続きじゃない事が悔やまれるところなんですよ……前回と順番を入れ替えてくれたらなぁ(両方傑作だけに残念!)あとガードランチャーのコクピットで秀人とタクマが入れ替わっていました。よく合体シーンをOPの映像から流用していたところあったからなぁ……。秀人と入れ替わる事そうなかったしなぁ。


次回予告

愛と希望の星「プロメテ」に向かって進むプラネスターとジャスダムの間に宇宙嵐が発生。そのチリによってサテライザーが出動不能となってしまった。嵐に巻き込まれ難航するジャスダムに襲いかかるメカサタンとハーケン特別隊。焦るな秀人、タクマ!
次回惑星ロボダンガードA「戦え!愛の星のために」期待せよ!!



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