無敵超人ザンボット3 全話解説
第1話 ザンボ・エース登場

脚本:五武冬史 絵コンテ・演出:斧谷稔


 オートバイで香月組と喧嘩する勝平と千代錦。そこにパトカーが追ってきた。勝平を含め神ファミリーは警察から目の敵にされている為、勝平はパトカーから真っ先に追われる。だが彼の退路を追うように、謎の触手が道路を真っ二つにしながら追ってくるのだ。そして橋が真っ二つに崩壊し、パトカーは海の藻屑となった。
神ファミリーが先祖の遺産を探していた頃、勝平はブスペアことミチとアキを連れて決闘の沖の島へ向かった。香月との決闘に挑む勝平だが、そこに先程の触手が現れたのだ。勝平はブスペアを香月に任せて、囮になりつつ家族の元へ向かうが勝平は触手に捕まってしまった。ところが海中から謎の白い戦艦・ビアルT世が出現。戦艦から聞こえる兵佐江門から自分が知らない間に学習させられたという・シュート・インを行えとの命令が。勝平はシュート・インなど聞いた事もない。だがアナウンスを聞くと思いだしたかのようにシュート・インして船内に入った。
 船内には母・花江と祖母・梅江が彼を待ち構え、いきなりパイロットスーツに着替えさせられる。何が何だか知らない勝平だが、花江からザンバードへ繋がる通路を案内され通路を隔てて操縦席へ乗り込む。
 ザンバードは飛び立った。見た事も乗った事もないのに勝平は操縦席の周りの機器に見覚えがある。実は半年間寝ている間に兵佐江門の手によって睡眠学習で教育されていたのだ。全てはこの日の為に。
 地球侵略を企む・ガイゾック。謎の触手とその本体はガイゾックが送り込んだメカブースト・ドミラだった。ドミラから香月やブスペアを守らなければ。勝平は兵佐江門や一太郎の指示や助けを借りてザンバードでドミラに挑む。一太郎からの指示でザンボ・エースに変形。海へ投げ出された香月達を救出し、ドミラ相手に殴る蹴るのオンパレード。だが触手がザンボ・エースを襲う。水中戦が不利と見た一太郎はザンボ・エースに地上戦で挑むように指示してザンボ・マグナムを発射。マグナムを片手に挑むが突如ドミラが姿を消してしまった。  勝平はマグナムをライフルに組み立ててドミラの居場所を探るが、地面からドミラの触手が伸びてきた。しぶとい敵に恐れを抱きつつ、弱点を探るザンボ・エース。そして腹部を弱点と見抜きグレネードランチャーでドミラを下した。

初陣は白星で飾ったが、ガイゾックのキャプテン、キラー・ザ・ブッチャーの野望は潰えていない。そしてビアルU世が浮上したとの報せがビアルT世に入る。神ファミリーにはビアルT世、U世、V世でガイゾックに立ち向かわなくてはならない悲しい宿命がある。その宿命をまだ勝平は知らなかった。


新要素のオンパレード。それはザンボットの宿命だった?
 ロボットアニメ史では歴史に残る作品となった無敵超人ザンボット3。比較的マイナーな作品を紹介していた故に、この作品は当ページでは結構異端です。
それはさておき、ザンボット3といえば容赦ないハードかつリアルな展開。この要素はリアルロボットアニメの原点の一つですが、それとは別にしても、斬新なシーンがちらほら第1話で見られます。
 まず、冒頭の唐突っぷりに注目。いきなりバイクで喧嘩している所から突然謎の触手が襲いかかってくる所まで何の説明もなし。そして、主人公には何が何だか分からないまま、戦う道を歩んでしまう所です。ロボットアニメ史では従来では、主人公には何か説明されているものですが、そういう説明も一切なしで戦いに駆り出されます。そしてこの手のロボットは操縦方法が知らない故(
異星のロボットや合体して操縦するロボットとかは別)に、試行錯誤を重ねる姿がありますが、ザンボ・エースを難なく操縦する勝平は、異端の存在。何故なら既に睡眠学習を施されているからです。
 睡眠学習で事前に操縦方法を覚えさせる手法はロボットアニメ史上ではおそらく初めて。これに関しては既に3人に戦わせる運命を背負わせていたのかもしれません。それに対しビアル一世を操縦する一太郎はマニュアルを見ながら操縦する所はどこかリアルです。
 またアクション面ですが、ザンボマグナムのシーンがやはりかっこいいです。マグナムを撃ったり、マガジンを充てんしたり、ライフルやグレネードランチャーを組み立てるシーンにはスタッフのこだわりを感じました。(このシーンは本当にカッコイイです!)、また従来の合体ロボット、変形ロボットのギミックを併せ持つ所もザンボット3のポイントで、ザンボ・エースに変形機構を持たせた事も新しい試みです。
(考えようによればファーストガンダムも合体変形の点ではその後継者かもしれません。)
とどめに主役ロボが第1話で登場しない事もロボットアニメ史上では初めて。ザンボ・エースは登場しますがザンボット3は登場しません。
(マジンガーZ、ガイキング、ゴーダム、そしてダンガードAでさえ戦ってないとはいえ第1話の画面に主役ロボットは登場しました。)この手の手法は今ではそう珍しくもないですが、当時では斬新でしょう。(すごくどうでもいいことですが、五武さんが深くかかわったダルタニアスも第1、2話で合体メカ登場、第3話で主役ロボ登場とザンボットと同じ展開です)
突然日常から非日常へ変わる瞬間、既に戦う宿命をつけられた戦士、操縦マニュアルの存在、第1話に登場しない主役ロボ、そしてザンボマグナム……悲劇的なドラマなしでもザンボット3には既に斬新な設定が備わっていました。ザンボット3がロボットアニメ史に名前を残すのもおかしくはない第1話でした。


今回の突っ込み

ドミラの道路を引き裂くほどの鎌が着いた触手に勝平がしがみついて無傷なんておかしいような。
次に、香月達を港へ引き上げた後に、ドミラの元へザンボ・エースが向かいますが、あんな距離でジェット噴射したら香月達が焼け死ぬような……


次回予告(全話ナレーション・永井一郎)

恐るべきガイゾックは遂に人類抹殺の狼煙を撃ちあげてきた。我々神ファミリーは集結を急ぐ。一人奮戦する勝平の元へ宇宙太、恵子がようやく駆けつけてくれる。
次回ザンボット3「燃える死神の花」さぁて、どう戦ってくれるかな……

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