無敵超人ザンボット3 全話解説
第16話 人間爆弾の恐怖

脚本:田口章一 絵コンテ・演出:貞光紳也


 電車で疎開しようとする避難民たち。だが突然避難民の何人かが爆発して、大勢の避難民が犠牲になってしまったのだ。これはあらゆる場所で発生していた。これはもちろんブッチャーの仕業だ。こんなど外道なことをやるのはこいつしかいないのだ。
 この件を知った兵佐ェ門は勝平達に仙台へ向かうように指示を出すが、なんと和行、きいろ、公子たち3人が自分たちも戦うと言い出して小型潜水艇で出撃してしまったのだ。小型潜水艇で出撃した3人は遭遇した鮫を魚雷で撃ち落とすと、その鮫がメカだと判明。だがそれらを疑問に思う前に、別の機械に潜水艇が沈められてしまった。幸い3人はとある船に助けられるが、その船長はバレターの変装だった。そしてブッチャーは彼らを人質にしてザンボット3を奪おうと企むのだ。
 3人に救助船が迎えにきたところ、バレターは医者を船の中に送り込む。すると船が爆発する事態が発生。3人はバレターからガイゾックの人間爆弾計画を知ってしまった。ブッチャーは3人を人質にしてザンボット3の明け渡しを要求した。子供の無事を祈るきみ子と由美子に対し3人を諦めなければ地球の敵になってしまうと宇宙太と恵子はやむを得ず母親に言ってしまう。しかし勝平は違った。あの3人を救えないで地球を守ることなどできるはずがない。彼の発言が場の空気を一気に変えた。兵佐ェ門もビアル1世で3人の救出をするために出撃した。
 ザンボ・エースで船に到着した勝平。ザンボ・エースを明け渡したらザンボット3は合体できないという勝平の理屈は筋が通っていた。勝平は花江のおにぎりを食べている間に、3人の解放を要求するが、白旗をあげたビアル1世が船の前に現れたのだ。もちろんこれは罠にすぎない。周囲が勝平に傾いている隙に、恵子と宇宙太が人質の救出に成功。作戦が失敗したバレターは船がメカブースト・ブウボンだと明かしてザンボ・エースに牙をむかせる。ザンボ・エースは他の2機と合流してザンボット3に合体。ザンボットカッターで攻撃するも、ブウボンの装甲には歯が立たない。強力な触手を前に締めつけられるザンボット3。そして切り札グランドミサイルがバレターによって発射されようとしていた。しかし、ビアル1世が管制塔へ攻撃を仕掛けたことで、バレターは間違えて人間爆弾の緊急自爆スイッチを押してしまった。
 ブウボンの中で爆発する人間爆弾。そのことを知らず炎上するブウボンにムーンアタックでとどめを刺したザンボット3。だが勝平は和行たちから人間爆弾の存在を知らされてしまう。あの中には大勢の人間爆弾がいた為戸惑う勝平。そして勝平達に人間爆弾と言う新たな恐怖が迫っていたのだ。


人間爆弾を持ち込んだ2作品 
今回は趣向を変えてまず人間爆弾の先駆けとなった2作品について。紹介するのは氷川竜介さんの書籍「20年目のザンボット3」に紹介された作品を。

まずは「スーパーロボットレッドバロン」第26話、鉄面党デビラーの最後。マジンガーZと同期に放送された特撮界におけるスーパーロボットの傑作。鉄面党との最終決戦を描いた第1部最終回ですが、前回で主人公・紅健の同僚・掘大作が鉄面党に捕われて、デビラーの怒りを買ってしまい時限爆弾を体内に組み込まれてしまうエピソード。デビラーの目的は紅健を巻き添えに自爆させる事で、余計なことを言ったらその場で爆発してしまう。大作は脱出してSSIの仲間と再会するそぶりを見せるも、やってきた紅健を巻き添えにさせない為に、礼を言って後を去り鉄面党の本拠地の場所を仲間達に伝えて爆発して果てるエピソード。前半で人間爆弾は終わってしまうのですが、最終決戦と言うだけあってかなりの盛り上がりを見せ、大作の殉職を悼む描写もあり、さらに隊長まで殉職してしまうと言う本篇で1,2を争う傑作回。
万が一ザンボット3の人間爆弾が単発で終わったらレッドバロンに存在は隠れていたほどの完成度が高いエピソードです。’なおこのエピソードはゲーム”スーパー特撮大戦2001”でも再現されました。)

  次に「氷河戦士ガイスラッガー」第15話、人間爆弾作戦。ザンボット3と同年の作品で、本篇に金田さんが参加されており、そして偶然にもこのエピソードもスタジオZ回という偶然極まりないシチュエーションです。エピソードについてですが、残念ながら自分は見たことがない為ガイスラッガーのファンサイトに掲載された濃い詳細を記したサイトがあり、物語はゲストキャラの博士がインベム帝国に捕まり人間爆弾にされた上、洗脳されて悪の手先になってしまい、彼の弟子的なゲストキャラ3人を改造して彼らで国防庁を破壊すると博士が脅迫するエピソード。博士含む3人が自爆し、ガイスラッガーは残された一人の爆弾を摘出して一件落着するエピソードですが……実際に見てないので分かりませんが、完成度はそう高くないような気がします。これなら仮にザンボットの人間爆弾が単発で終わってもザンボットの方が面白い気がします。なおガイスラッガーは本放送当時視聴率低迷で2クールも持たず僅か20話で打ち切られた不遇な作品。ザンボットに先駆けて人間爆弾を持ち込んだアニメですが、一応救われた勝平に対し、ラスボスのところへ特攻する所で打ち切られたガイスラッガーのラストはある意味ザンボット3の正反対かもしれません。

さて、今回の感想とかですが、ちびっ子が活躍するエピソードに人間爆弾というハードなエピソードを持ってきたことはかなりの冒険ではないでしょうか。最期が最後なだけに後味の悪い終わりが、さらなる悲劇の予兆をしているようです。
また勝平の子どもたちを救えないで世界の平和が守れるわけがないと言って3人を救出に行くシーンもなかなか。兵佐ェ門達がやむを得ず犠牲にしようとする人々に対し勝平は常に一人でも多くの人々を助けることを選びます。そんな勝平だからこそこのような行動をとるのはおかしくなく、彼の決意に家族が喜び、お守りやおにぎりを渡すシーンは家族のきずなの強さを表しているようです。また花江母さんのおにぎりは作戦でも使われました。
勝平の行動は無謀なところはあるかもしれませんが、人びとの心を動かす力があるかもしれませんね。
また金田さんの作画ゆえにアクションも良好。(冒頭のブッチャーのパチンコはアレですが、そんなこと言ったら他の回のブッチャーも同じようなので敢えて目をつぶります)


今回の突っ込み

今回も特にありません


次回予告

人間爆弾によって大量殺人を企てるブッチャーの罠とは何か?香月君達を救うため、勝平と梅江ばあさんは謎のキャンプへ潜入する。犠牲となった人々の明日はないのか?
次回ザンボット3『星が輝く時』。さて、どう戦い抜くかな?

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