無敵超人ザンボット3 全話解説
第18話 アキと勝平

脚本:星山博之 絵コンテ・演出:山崎和男


 香月を乗せて消えた輸送船を追う3機。そして修理が済んだビアル各機もキング・ビアルへ合体した。目的は人間爆弾の製造をもくろむガイゾックの基地を叩くことだ。
 部屋に閉じ込められた香月はミチを発見。彼女の話からだとアキは昨日外へ連れ出されてしまったようだ。その中で香月はある部屋へアキが他の人々と共にある部屋へ連れて行かれたことを思い出した。アキは人間爆弾にされてしまうのだ。
 ザンバードはメカブースト・クラーゲンに遭遇。輸送船を破壊したクラーゲンに挑むザンバードだが、クラーゲンはすぐ海中へ逃げてしまった。そしてその中で勝平は海へ投げ出されたアキを発見し彼女を救助した。ザンバードが去ってから少し遅れて救助活動に入るザンブル。だが、避難民の一人が突然大爆発を起こした。これを見た兵佐ェ門は人間爆弾が紛れていることを知り、救助するなとの命令を出した。避難民とはいえ人間爆弾をキング・ビアルの中に入れてはいけないのだ。
 だが勝平はアキを無断でキング・ビアルの中に入れてしまった。彼女は一時期の記憶が欠落しているようだが、勝平はそこまで気をかけなかった。そして彼はアキにずっとここにいてもいいと恥ずかしそうに伝えた。
 アキが着替えている間に兵佐ェ門に事情を説明した勝平。だが兵佐ェ門は直ぐに下せとの命令を出す、人間爆弾に改造されたらどうするのか。兵佐ェ門にそう問い詰められて勝平は徐々に焦り始めていた。そんなことはない。勝平はそう思いながらアキのもとへ向かう。急ぐ勝平。アキの名前を叫んだ瞬間だった。勝平の部屋が爆発して吹き飛ばされてしまったのだ。爆発の被害を最小限に食い止めるためにシャッターは締められ、船上に出た勝平はアキに貸したシャツの切れ端を掴み、涙を流すのだった。
 だがそんな彼の気持ちを知らないように、クラーゲンが現れた。怒りに燃える勝平は合体の提案を断りザンボ・エースでとどめを刺そうとしている。そして宇宙太にビッグミサイルを自分に撃てと言い出し、射出されたビッグミサイルを掴んで、それをクラーゲンへ向けて投げつけて勝利を手にした。
 クラーゲンを倒したザンボエースはザンボット3に合体。恵子によるとクラーゲンは海中から現れたもので、深海にガイゾックの基地があることを確信したザンボット3は潜行する。浸水限界7000メートルまで潜る中で、勝平はアキたちとの思い出を振り返って一人涙を流していた。そんなところにバンドックの頭部が出現。怒りに燃える勝平はバンドックに鬼神のような戦いを挑む。だが深海の中で水圧が武器の勢いを殺している為思うように戦えなずムーンアタックも効かないので、やむを得ず撤退した。
 その頃人間爆弾へ連れ出される人々に乗じて香月はミチを連れてどさくさに脱出し、ミチを脱出させることに成功した。香月は勝平やアキの為にまだやらなければならない事がある。ミチに生きて会う事が出来ればお前と握手できると言い残して。
 
 人間爆弾に改造されずに済んだミチは無事キング・ビアルに収容された。そして爆破した勝平の部屋が引き上げられ勝平は彼女に言った。
「あれがアキの死んだ部屋」と。
 勝平の部屋は深海へ沈み、アキの冥福を祈るのだった。


人間爆弾=ザンボット3の図式が成り立った回 
 前回の次回予告のラストカットとただならぬ気迫がこもったナレーションに恐怖を覚えた人は多いはず……そしてサブタイトルから大変なことを感じてしまうエピソード……そして……
 人間爆弾=ザンボット3の図式が成り立ったのはこのエピソードのおかげではないでしょうか。以前述べたガイスラッガーではゲストキャラが犠牲になるという普通にありうるエピソード、レッドバロンはレギュラーキャラの殉職ですが、同じ闘う仲間だったこともあり、隊員の殉職とかがこの手の作品にはよくあったのでまだ衝撃は少ないです。
 そしてザンボット3では幼馴染のヒロインが犠牲になってしまう点が前代未聞でした。今までは共に主人公と戦う仲間及びゲストキャラが犠牲になることが多いこの手の作戦で、戦う事とほぼ無縁なレギュラーキャラが犠牲になるシチュエーションがなかったのです。
 また勝平がアキにずっとここにいろよという一種の告白をした後にこのような事態が起こってしまう事も残酷です。それからちょっとしたほのぼのとさせてくれるシーンの後に兵佐ェ門の人間爆弾発言から勝平の心境にかなりの変化を見せてくれます。前回勝平は人間爆弾の件を理解していましたが、アキが人間爆弾になる訳がないと思っていたこともあり、現実に有り得る事とそんなはずがないと思う事が勝平の頭の中で渦巻いていたに違いありません。今回の作画は何時もより勝平の目が小さく書かれ、微妙な心情の変化が表情にうまく表れています。
 そして必死に部屋へ向かう勝平。従来ならここで間に合うと思いますが、彼女の名前を叫んだときに爆発してしまうという残酷極まりない展開です。
前半でかなりの衝撃を与えた今回。後半はかたき討ちを期待させて潜水強度の都合でやむを得ず撤退する所もやりきれなさを感じます。これはザンボット3だけではかたき討ちはできない。人類の脅威を打ち破るのは神ファミリーだけではないという伏線かもしれません。


今回の突っ込み

今回は特にありません。


次回予告

勝平の執拗なまでの攻撃に、バンドックがその巨体を現わす。明日を賭けた脱出の最中、香月君が見たガイゾックの姿とは?キング・ビアルのイオン砲が咆える!
次回ザンボット3『明日への脱出』。さて、どう戦い抜くかな?

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