無敵超人ザンボット3 全話解説
第20話 決戦前夜

脚本:荒木芳久 絵コンテ・演出:斧谷稔


 野崎副総理はザンボット3とキング・ビアルを軍に貸してほしいと兵佐ェ門に頼んだ。理由は軍でザンボット3の量産化を進める為に兵士たちに操縦テクニックを覚えてもらうためだった。戦いは戦いのプロに任せた方がいいという野崎に対し勝平は反発する。今までの戦いを勝平は勝ち抜いた。野崎はそれを評価しつつ、民間人の戦いを政府は認めないということしかできなかった。野崎は悩むが軍部の圧力に押されて、ザンボット3は強制接収されてしまった。兵佐ェ門は決めた。こうなったらやれるだけやらせてみるしかないのだ。
 次々とメカブーストを作り出すブッチャー。そしてビリヤード玉突き作戦でザンボット3を攻めようとしていた。軍部の手によって3機は出撃。シュミレーターで操縦を学んだと自信はあるようだが、再び現れたメカブースト・ガルチャックを前に苦戦を強いられ、ザンボット3に合体する。だが、ガルチャックはザンボット3ですら歯が立たずイオン砲でとどめを刺した相手。ザンボット3で戦っても意味はない。勝平達の忠告を無視して軍部は意地を張ってザンボットで戦い続けた。このまま戦うが全然勝ち目がない。勝平はザンボットが破壊されることが心配で仕方がない。さらにメカブースト3機が出現し恐怖に陥る兵士たち。彼らは軍部はえぬきのパイロット。何故彼らが戦う事が出来ないのか。
 それは、勝平達3人に意識の奥の奥まで戦士として睡眠学習をされてきたのだ。ビアル星で発達した学習方法を叩きこまれた勝平達にしかザンボット3を動かすことはできないのだ。
 ザンボットは再び勝平達の手に戻った。ガルチャック相手にムーンアタックを放ち、上昇してバスターミサイルを叩きこむ。その間にイオン砲のチャージが行われるが、敵が作戦を呼んでしまい4機との戦いに持ち込まれた。ブッチャーのビリヤード球つき作戦が始まった。アンモスガーの攻撃を切り口に、ガルチャック、ドヨズラー、アモンスガーの同時攻撃が繰り返されて行われる。
 このままではザンボット3が持たない。キング・ビアルの指揮で、ザンボットはまず地上にいたドヨズラーをムーンアタックで仕留めて脱出路を確保。次にアンモスガーの水爆を利用して他の2機を巻き添えにイオン砲で破壊しようとする作戦だった。そしてイオン砲がアンモスガーに発射され、他の2機も巻き添えを喰らう形で破壊することに成功した。神ファミリー決死の作戦によってザンボット3は無事生還して帰ってきた。軍部たちは水爆の爆発に恐怖を感じるが、兵佐ェ門は勝平の年頃の子どもたちの反射神経を利用する為に、戦いに最も邪魔な戦闘への恐怖を打ち消すよう暗示をかけられていたのだ。
 野崎や軍部たちも神ファミリーが戦いに重要なのを理解した。そして神ファミリーは遂に決戦へ向かおうとしていた。


上手い総集編の作り方。 
 厳密には今回は総集編ではありません。ただ今までの敵が何体か登場して総力戦を挑むエピソードは事実上スタッフの時間稼ぎといった側面もあります。実際にこのページで取り上げたマシーンブラスターの第21、34話やメカンダーロボの第13話がそれに当てはまります。(メカンダーの第16話はほぼ新作カットだったので対象外)ザンボット3も第4,8〜10話の再編集プラス新作カットです。ですがこのエピソードは総集編やスタッフの疲労軽減といったネガティヴなイメージがほとんどない隠れた力作です。(ぶっちゃけこのエピソードは1話分の追加発注で最終回制作後に穴埋めとして製作されている為、後者の意味は全くないのですが)
 この総集編的エピソードが面白い秘訣は新作カットにあらゆる要素を詰め込んでいることにつきます。今回のエピソードでは軍部がザンボット3を操縦しようとする主軸に、分かっていない人々の描写や、何故ザンボット3を勝平達が動かすことが出来るのかを解き、役職だけの戦闘のプロと、戦いを積んできた民間人の差を上手く見せています。戦いを嫌っていた花江さんが実際の兵士以上にレーダー手としての実力があるのもそのためかもしれませんね。
 次に流用カットの使い方も的確なことです。再び現れた敵には改造や新兵器が備わっていない限り同じ手を喰らうはずがありません。従来の総集編的なエピソードでは同じ手にまた苦しむような描写だってあります。ですが、今回は防衛隊がザンボットを動かすという展開で、実戦に不慣れゆえに苦戦するシーンに流用カットを使っています。そしてザンボット3が善戦するカットも同じですが、新作パートも織り込まれ4機にとどめをさすシーンは完全な新作カットで見ごたえのある倒し方をしています。
 とりあえず残念な所を上げますと、トラシッドを登場させてしまったことでしょう。トラシッドに罪はありませんが、トラシッドの登場した第10話は金田回故にトラシッドとの戦闘シーンが浮いてしまったことでしょう。まぁ全体的の面白いので大したことはありませんが。
 また野崎副総理がややネガティヴなイメージで書かれてしまったのは第10話の描写を見てからだと少々残念です。


今回の突っ込み

第9話でも言いましたが、上空で水爆を爆発させていいのでしょうか……やはり水爆を搭載した敵を大気圏内で倒すこととかは……


次回予告

ついに我々神ファミリーはガイゾックとの決戦を宇宙に求めた。バンドックの猛攻撃に、儂は梅江ばあさんと最期の賭けに出る。勝平達の未来を信じて。
次回ザンボット3『決戦!神ファミリー』。さて、どう戦い抜くかな?

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