超電磁マシーンボルテスX
全話解説
最終回 崩れゆく邪悪の塔!!

脚本:田口章一 絵コンテ・演出:寺田和男 作画監督:金山明博


ボルテスXの力を得た労奴軍は黄金城へ進撃。戦意を喪失した貴族たちは黄金城へ逃げていく。全滅、投降を繰り返す近衛軍に貴族たちは絶望し、ズ・ザンバジルも焦っている。ハイネルが到着したときには黄金城は既に燃え、カザリーンは彼の後を追う。カザリーンの制止もハイネルは受け入れない。貴族としての誇りを守るために、ハイネルは最後まで戦うつもり「許せカザリーン」の言葉と共にハイネルはカザリーンを振り切るが、カザリーンは何としてもハイネルを殺させたくはない。彼女もハイネルを追う事を止めなかった。
 黄金城の正門は崩され、労奴達が一斉に進撃。正門から飛び出した労奴達はズ・ザンバジルが悪いと責任を転嫁して命乞いをするが、労奴達は臆病にも程がある貴族達が自分を支配していた事に失望に近い感情を抱いていた。次々と逃亡する貴族達にズ・ザンバジルもとうとううろたえだした。
  ハイネルが到着した守護神ゴードルの像で、保身を図り逃げ出す貴族達に遭遇。同じ貴族として誇りを捨てずに戦えと喝を入れるが、心なき貴族の一人がハイネルを射殺しようとしていた。そしてビームが放たれた時、駆け付けたカザリーンがハイネルの盾となった。

「初めて、初めて抱いて下さりましたわね。カザリーンはうれしゅうございます……」
「カザリーン、しっかりするのだ!」
「私は、私はいつまでもこうしていたい……」
「カザリーン……」
「うれしゅうございますハイネル様……」

 自分の盾となって犠牲になったカザリーンへ初めてハイネルは彼女を抱き、また彼女の死に心から涙ながらに震えた。そして、改めてカザリーンの死がボルテスXを倒すまで自分は死なないと決意をさせるきっかけとなった。
 労奴軍との戦いにひと段落がつき、遂に剛博士と三兄弟は遂に再会の抱擁を交わしていた。この姿を見たハイネルは、ズ・ザンバジルへの降伏を勧告される中で、ゴートルに自分の進路を問う。
 国を愛する者は、守護神ゴートルの燃え盛る炎に身を投じるのなら、守護神ゴードルは国難を救ってくれる。この言い伝えを信じ、ハイネルは我が身を焼かれようとも国へ命を賭ける。
「ボアザン帝国に栄光あれ!!」
 今、ハイネルは炎の中に飛び込んだ。しかし、彼は焼き殺される事無くゴードルのコクピットにたどり着いた。なんと守護神ゴートルはボアザン最後の力を秘めた身を石像に隠していたのだ。今守護神ゴードルが青銅の身体を遂に解き放ち、健一ら労奴軍の前に立ちはだかる。ゴードルとボルテスXの一騎打ちが展開される。守護神の剣か天空剣か。その時天空剣がゴードルの腹を切りつけた。超電磁ボールで引導を渡されるのか・・…しかしゴードルの炎がボルテスXを退け、剣がボルテスXを切り返す。
 そして天空剣がゴードルの腹を突きさして2機が倒れた時健一は剣を託された。炎を背に受けて構えるハイネルからの剣だ。

「ハイネル!既に戦いは終わったんだ!!」
「終わってはおらん!!宇宙で最も優れた人種、角を頭に頂くボアザン貴族の戦いは最後の一人まで続くのだ!!」
「それが間違っているんだハイネル!!角のある者もない者も皆同じなんだ!!」
「言うな!健一、命はもらった!!」

 両者の生身での戦いは熾烈を極めた。やがて両者は肘を切られ、双方の刃は折れた。戦う理由はないと説得する健一に、ハイネルが短剣を引き抜いた時、剛博士はハイネルが持つ短剣がロザリアに託した形見と全く同じだと告げた。ハイネルは亡き母上の唯一の形見とその短剣が言った時、剛博士は知ってしまった。ハイネルはロザリアが命と引き換えに産み落とした自分の息子、つまり健一の兄であった事を。剛博士の言葉通り、短剣の柄には鳩の紋章が彫られていた。これを見た時ハイネルは動揺に駆られた。血で血を洗うような兄弟同士の戦いを自分は今までしてきたのか。自分を否定してしまう事実をハイネルは嘘だと振り切ろうとする事が精いっぱいだった。
 その時ズ・ザンバジルが現れた。彼は貴族の誇りを捨てたかのように半狂乱して財宝に身を包む。貴族の誇りを捨てるなと伯父でもあるズ・ザンバジルに喝を入れるが、彼はハイネルが全ての元凶だと言う始末。腐敗した貴族を目にしたハイネルは短剣を彼の胸に投げつけて始末した。しかし彼が握っていた爆弾が爆発。その影響で健一とハイネルの足場が真っ二つに割れてしまったのだ。
 健一が掴んでいた瓦礫の先には、炎を背にしたハイネルの姿があった。兄さんと叫ぶ健一達、自分を呼ぶ健太郎へハイネルは涙ながらに言葉を漏らした。

「お父さん……」
 瓦礫が崩れ、ハイネルは炎の中へ消えていった。数奇な運命による戦いは終わりを告げ、ボアザン星の復興の日々が始まる。剛博士はボアザン星の復興を指導する為に残る事が選んだ。健一達には地球を守る使命があり、ボルテスXには新たにワープ機能も備えられた。地球の平和が続く事、ボアザン星が輝ける未来を掴み取る事を信じてビッグファルコンとボルテスXは地球へと帰還する。

「子供達よ。父や母や兄弟を愛するように、人間同士が宇宙を超えて本当に愛し合えるならば、そして地上のあらゆる動物や植物、山や海を愛する事が出来るならば、宇宙はいつまでも平和だ……」

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