元気爆発ガンバルガー 全話解説
最終回 最終最後の大決戦!

脚本:金巻兼一 絵コンテ・演出:日高政光 作画監督:近藤高光


 共闘とこれから

 さて、ガンバルガーの最終回で描かれる物語はライバルとの共闘して、ラスボスを相手に宇宙で激突する点と、戦いを終えた彼らの後日談ではないでしょうか。この2点に関してはちょうどOVAシリーズで完結を迎えたライジンオーの最終回(みんなが地球防衛組)に通じる点を感じました。前者については同じ宇宙での戦いですが、地球が崩壊して宇宙空間に人々が放り出されながらも全員無事というフィールドはいかにもガンバルガーらしいフリーダムな設定ともいえましょう。
 そして後日談についてはライジンオーのTVシリーズではOVAに持ち越しになった訳ですがガンバルガーでは最終回EDで簡単ながらもしっかりと挿入されています。他の作品と違い卒業とは関係ない作品で後日談の日常は決してめまぐるしい変化があるわけではありません。(最も他の作品も卒業後のエピソードはない訳なのですが)ですが最後のガンバーブレスを埋めるシーンは本当にヒーローとしての自分と決別して小学5年生として一歩前進したように見えます。卒業とは違う形で、それもまた自分たちの意思で敢えてヒーローとしての自分と決別して新しい一歩を踏み込んだ時点で彼らは成長しているのです。何気に亜衣子先生とヤミノリウスの関係もしっかりフォローされていましたのでもう一つのドラマも無事決着が着いて一安心。OVAのライジンオー同様1つの最終回を無事やり遂げた感じです。


 総評-エルドランシリーズの異色作は逞しくてフリーダム-

 さて、ガンバルガーですがおそらく名無しがエルドランシリーズの中では最も気に入った作品になりそうです。その強みはライジンオーの差別化された設定……よりも強烈な個性を誇る町内の人々をレギュラーとして、ヤミノリウスの作戦のバリエーションを幅広くする事でガンバーチームの戦いも自然と幅が広くなったわけです。特に後者の点は他のエルドランシリーズが後半から戦闘シーンの見せ方がイマイチだった訳ですが(いわゆるパワーアップ合体の出ずっぱりによるものが大きい)、ガンバルガーは最後まで飽きさせる事がありませんでした。
 前者のキャラクターに関しては虎太郎のフリーダムなキャラクターと、気弱ながらも意外と適応性の高い鷹介、常識人であり突っ込みスキルを持つ力哉の3人で既に掛け合いとして楽しめるものであり、この3人に関連付けられるようにレギュラーキャラが配置されていました。メインヒロインでありながら時にはガンバーチーム以上のトラブルメーカーの千夏、武田長官の一人娘という美味しい役割を背負った桂、力哉の兄貴らしさを強調させる哲哉、父親でありながら師匠でありながらそして犬のギャップが堪らないゴンなど……勿論教師としての逞しさと終盤のキーパーソンを担った亜衣子先生と、ライバルと三枚目の英田で絶妙なキャラ付けのヤミノリウスは言うまでもありません。とにかく、エルドランや魔界側のゲストキャラクターを除いてほぼ彼ら青空町のキャラクターと魔界獣で話が展開された点はキャラクターの個性がしっかり現れていた証とも言えましょう。
 そしてライジンオー以上に磨かれた魔界獣のユニークな作戦に始まり、ガンバーチームの戦いにかなりスタッフが苦心されていたように思えました。要はどうすれば飽きさせないのか常日頃体当たりで考えていたのではないかと思います。魔界獣では地球から空気を抜いてひしゃげさせる事を目的としたトンガッターから始まり、青空町そのものを歩かせるヤドリール、あらゆる人間をカエル人間にしてしまうケロケリオン、あらゆる場所から水を噴水のように抜き取るゲイバルーン、あらゆるもの全てバナナに変えるバナナーンなどなど彼らの作戦は本編の映像からしてもインパクトが強く、バカバカしさも全開(褒め言葉)。この作戦描写はロボットアニメという比較的真面目な描写が求められる作品に、まるでマンガのような(当たり前かもしれませんが)もう少し言葉を変えるとカートゥーンのようななんでもアリなフリーダム感覚がみなぎっています。この時点でも楽しませようとする意気込みを感じるものですが、ガンバーチームの戦いも魔界獣のフリーダムな作戦に負けないものがあります。
 まずガンバーチーム全員が超能力を持っており、専用マシンを駆って町内の騒動を解決しようとするところから始まり、合体前の3機のメカも単なる繋ぎだけではなくガンバー忍法を駆使して魔界獣にある程度のダメージを与える前半の展開はガンバルガーへの合体前のアクセントとして機能していました。リボルガー、ゲキリュウガーの登場から一時型にはまった展開でしたが、グレートガンバルガーの登場後もガンバルガー、リボルガー、ゲキリュウガーのそれぞれが止めを刺す展開が見られるようになり、後半以降で再び戦闘シーンに多種多彩なシチュエーションをもたらす事が出来たわけです。ユニークな作戦と幅広いシチュエーションのバトルが一体化することで、ガンバルガーのバトルはマンネリ化せず最後まで飽きさせないものになったと思います。これはロボットアニメとして大きな強みとも言えるはずです。
 エルドランシリーズにおいてガンバルガーは異色作として認知されることが多く、特にライジンオーとゴウザウラーに板挟みとなっている所があるかもしれません。ですが、異色作ゆえか多種多彩なシチュエーションと遊び心、そしてお気楽さが漂う、まさに肩の力を抜いて楽しめる娯楽作とも言えるのではないでしょうか。

元気爆発ガンバルガー 完


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