ゲッターロボG 全話解説
第28話 緑の地球が死ぬ!

脚本:高久進 演出:生瀬昭憲 作画監督:野田卓雄


 それはミチルが白竜湖のパトロールに出かけていた頃。濃い霧に覆われていた黄色の川を発見する。川の近辺の村や自然は既に廃れており、村の小屋には屍しか存在せず、川の水を口にした生き物はその場で死に耐えるほどの毒性が強かった。ミチルの記憶ではこの地区は昔は自然が実っていた場所だと思っていたが。ミチルがそう思った時、緑の残された場所には工場が居座っており、その存在に気付いた時ミチルは何者かに襲われて意識を失ってしまう。
 目を覚ましたミチルは白蛇鬼に工場に捕まっていた。その白蛇鬼の部下である蛇王鬼は何処かで見た事がある顔だが思い出す事が出来ないまま牢獄に閉じ込められてしまう。しかし意識を失っていた時にミチルは幼少時代の記憶を思い出す。ミチルをいじめっ子から救っていた小学校時代のクラスメイト紅林譲治は家は貧しくも文武両道の優等生だった。そんな彼は父が白竜湖付近の鉱山で働く事になった為浅間を去ったのだ。そしてその譲治は――蛇王鬼なのだ。
 しかし、蛇王鬼はミチルの前で言った譲治は死んだのだと台詞と共に二本の角を明かして去っていく。蛇王鬼の目的はただ一つ。白蛇鬼が開発するメカ蛇王鬼で人類へ復讐する事だった。
 翌朝ミチルに蛇王鬼へ自分が復讐する動機を明かす。蛇王鬼――譲治の父は鉱山で働いていたが、鉱石には猛毒が含まれており、父はその毒で命を落とした。譲治はこの事を鉱山側に訴えてもかけ合ってもらえず、さらに鉱石のカスを川に流した事でその川の水を飲んだ譲治の母、弟、妹までも貴い命を奪われてしまい、駐在所へ訴えようとした譲治も毒水の為に力尽きて倒れてしまう。
 そんな彼を白蛇鬼が助け、彼は人類への復讐のために百鬼一族へ入る事を選んだ。そんな彼にミチルは蛇王鬼は利用されている事を告げる。彼女は白蛇鬼が鉱山の毒を川に流したとの話を耳にしていたのだ。ミチルはこの事を説得しても、彼は信じないで出撃しようとするが、念のために白蛇鬼へ接近した所、その話が本当であった事を知る。白蛇鬼を家族の仇として始末しようとする蛇王鬼だが、自分の命の恩人である事をちらつかせられて躊躇ってしまった所、射たれてしまう。虫の息のまま蛇王鬼は譲治としてミチルを脱出させ、追ってとの応戦の中で力尽きてしまう。
 白蛇鬼はメカ蛇王鬼を駆って飛んだが、ゲッターライガーが立ちはだかる。しかし蛇王鬼には川の毒の何倍以上もの毒が内蔵されており、その毒は東京の人口の半分が死滅してしまう程である。その為ゲッターポセイドンが火口へメカ蛇王鬼を近づけ、シャインスパークを放つ事で止めを刺した。
 そしてあれから1年……白竜湖の自然は確かによみがえりつつある。譲治のお陰で緑の地球は死ぬことなく今も生き続けているのだ……。


それは1年後、ミチルの視点から振り返る物語。

 作画のキレの良さは勿論ですが、何より演出が面白い回です。まず、1年後の視点から戦いを振り返る物語。後番組の大空魔竜ガイキング第40話でも似た手法が取られていましたが、ゲッターでは1年後と明言しており、その時は本編の時系列=放送期間となれば既に戦いが終わった後なので、最終回が来る前にエピローグのような出だしで始まる試みに驚いてしまいました。
 そして次の点はミチルになりきる事が出来る画面構成。この回はミチル回ですが、なんとミチルの顔が登場しません。厳密には冒頭と締めの1年後の描写では普通に顔を出していますが、回想として描かれる本編はミチルの視点で画面が進み、ミチルによるナレーションで物語も進む。まるで視聴者がミチルになりきるような斬新な試みの演出に感心の出来。35年以上前の作品にもこんな斬新な演出を見せる作品があったのかとびっくり。ぜひとも視聴してほしい所です。
 その他の点では公害問題を背景にしたエピソード。高度経済成長時代の反動が来た時代ゆえに何処となく社会性を反映したような回。蛇王鬼、いや譲治もこの公害病による悲しき被害者なのです。


今回の突っ込み

ごく普通の少年に人類を憎ませ、自分の門下生としておそらく10年ほど手塩にかけて育てた白蛇鬼……気長な人だなぁ。


次回予告(ナレーション:キートン山田)

パリから帰ったハヤトの姉明日香は、父親が秘かに手掛けていたゲッター線平和利用研究所の完成を喜んだ。しかし、突然現れた百鬼ロボの前に彼女は瀕死の重傷を負ってしまった。明日香の命は如何に!?
次回ゲッターロボG「涙のあとに口笛を」にテレビ・スイッチ・オン!

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