グロイザーX 全話解説
第9話 傷だらけの友情


  ダガーはハーロックに日本のエネルギー不足を引き起こすために、石油を輸送するタンカーの撃墜を命じる。だが、その作戦は同時にグロイザーXを破壊する作戦でもある。彼の空爆ロボバイキングは潜水用に設計されているため空中戦では不向きだが、ダガーの狙いは、石油タンカー沈没の調査の為に譲達がGシャークで捜査を開始した時が狙い目。そして、Gシャークのパイロットを人質にして日本上陸作戦を優位にするのがダガーの作戦だが、人質を取る作戦にハーロックは反発する。何故ならハーロックはヤン博士の親友でもありゲルドンのやり方に懐疑的だったからだ。しかしダガーに力押しでハーロックは作戦を実行する事になってしまった。 
 タンカーの接近と共にバイキングは出撃し、タンカー撃沈作戦の為に機体を潜水。そして、彼の手によって次々と石油タンカーが撃沈されてしまった。その事件に頭を痛める吉田局長は防衛隊に調査を命じるがやはりバイキングによって撃沈されてしまった。
 毎度お決まりのように吉田局長からの命令で出撃するグロイザーX。すぐに敵をとらえた譲だが、撹乱電波によって敵の位置がつかめない。その最中、水中から攻撃するバイキングに対し、譲はGシャークで出撃しバイキングに接近するが、バイキングにGシャークごと譲はネットに捕えられてしまい、ネットからの電磁波で譲は気を失ってしまったのだ。
 譲が意識を取り戻すと部屋でハーロックがオルガンを弾いていた。そして、ハーロックはステーション基地に映像を送り、リタにグロイザーXと共に降伏するように勧告している。グロイザーXを明け渡すことに悩むステーション基地のメンバー。博士はリタにハーロックの件を尋ねると彼はヤン博士を崇拝しており、彼女が幼いころによく出会っていた親しい人物だった。そのような人間でさえ戦争になると卑劣な手を取らざるを得ない現状に博士は悩み、次に取るべき行動が分からなかった。この話を盗み聞きしていたゲンは、サブと一平とともに譲を助ける作戦を提案。会議の答えを待っていては譲は殺される可能性もあるかもしれない。その為ゲンは2人を乗せて漁船で譲を助けに出た。
 オルガンを弾いているハーロックを見て譲は彼が悪人ではないと思う。だがハーロックは自分の行いを悔やんでいた。ゲルドンの配下になる理由を譲は問うが軍人の宿命だと譲に言い切る。しかし、譲は自分はただの民間パイロットだと言い彼の考えは理解できないと反論。ただの民間パイロットが戦う理由を問うハーロックに譲は地球の平和を守るためだと堂々と主張した。そしてリタを救ったのが譲であると知り、彼を称賛するハーロック。譲は彼にリタはヤン博士の遺志を継いで戦っていると言う。
 その時、ゲン達が譲のいる島に到着。ハーロックは彼らの潜入に気づくが、意外にも彼は大笑いして譲に救援の到着を伝える。ハーロックは彼らを振り切るようにバイキングを無人島から離脱させる。
 一方、リタはグロイザーXでバイキングの元に向かった。途中ゲルモスと遭遇するがタキオン光弾でゲルモスに攻撃。その攻撃でゲルモスがエンジンを損傷した為、ダガーはハーロックに譲を殺すように命じる。彼は反対するがダガーの命令で譲を殺すことを選ぶ。しかしハーロックにとって譲はリタの命を救った恩人であり、彼は譲をパラシュートで脱出させることを選び、譲に敬礼を送った。そしてハーロックは兵士の意地と称して、ダガーの制止をも聞かずに、家族の保護を頼んでからグロイザーXに特攻をかける。
 ハーロックはグロイザーXに向かって攻撃を仕掛けるが、リタには彼が手を抜いている事が分かった。その為ハーロックにそこをどくように命令するリタだが、ハーロックはあえて譲を殺したとの偽りの情報をリタに知らせる。その事が信じられないリタだが、涙ながらにタキオン光弾でバイキングを撃破。ハーロックは、彼女の腕前をあの世でヤン博士に報告すると言い残して通信を絶った。それから国防軍が譲達を救出したとの情報がリタの耳に入り、彼女は喜ぶと同時にバイキングの墜落跡を見る。その光景を前にリタは涙をこらえて譲を救出した。
 ハーロックは譲を殺したと嘘をついてリタに攻撃させることが、今の自分に出来るゲルドン帝王への抵抗だった。そして、彼は自分を犠牲に家族を守り自分の罪滅ぼしもしたのだ。譲もリタも大空に散ったハーロックの冥福を祈って泣いた。そして、ゲルドン帝王の野望を一日も早く絶つ為に闘志を新たにするのだった。


ハーロック隊長に敬礼を
グロイザーXにはほぼ毎回敵側の隊長が登場します。ゲッターロボやグレンダイザーでこの手法はとられていましたので先駆けではありませんが、やはり敵隊長と主人公側とのドラマにはなかなか目を見張るものがあります。グロイザーXもその例にもれず、敵隊長とのドラマは特筆ものが意外とあります。
個人的にハーロック隊長は屈指の隊長キャラの1人で、美少年でも美少女でもありませんが渋いキャラで歴戦の勇士らしい外見と操縦テクニックはもちろん、バイキング内でオルガンを弾くシーンで彼はただの敵役ではないと感じさせてくれます。
 譲からは悪い人間ではないと言われるシーンからは、僅か1話の登場ながらこの人物の器の広さを感じます。人殺しで英雄と称えられる自分を自虐したり、歴戦の軍人だった自分に対しただ正義のために戦う民間人である譲に自分にないものを感じたり、ゲン達を見ても敢えて見逃す事を選んだり、軍人は命令を絶対と従いつつ、その中で命令の例外を見出して譲を脱出させたり譲を射殺したとダガーとリタの敵味方両方に偽り、軍人としての最期を最愛のリタに飾らせて、軍人の誇りを守りつつ、自分の罪滅ぼしを行い、ゲルドンへ精いっぱいの抵抗をした男ハーロック。1話のゲストキャラではかなり密度が濃いキャラです。

バトルシーンはやや薄めのようでしたが、ただ言えることがハーロックは立派な隊長であったこと。譲とリタの両方に深い関わりを持った数少ない人物・ハーロック。この男の生きざまに敬礼をささげようと思います。


今回の突っ込み

今回は特にないです


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