超電磁マシーンボルテスX
全話解説
第8話 地底城の陰謀

脚本:五武冬史 絵コンテ・演出:寺田和男 作画監督:金山明博


獣士ガルゴーの噛みつきにエネルギーを吸収されるボルテスX。この戦いを優勢に持ち込むハイネルだが、スカールークに皇帝の懐刀と呼ばれたザキ公爵が視察として現れたことで撤退を余儀なくされてしまう。
 ザキ公爵との接待に慎重に対応するハイネル達。彼はある事ない事を言っては死刑になった者もいるうえ、ハイネルはボルテスXのせいで戦果が上がらない現状もあってザキが何を言い出すか分からないと考えていたからだ。実際ザキは皇帝の言葉と偽ってハイネルが無能であることを言いふらし、ハイネルはあえなく刀を抜きかけてしまう程。さらにザキはハイネルは裏切り者ラ・ゴールの息子として同じ末路をたどると言った時にハイネルの怒りは頂点に達した。

 ジャンギャルとカザリーンによってその場は平穏を保たれた。ハイネルは父のせいで幼少時から裏切り者の子として迫害を受けていた。更にラ・ゴールは本来なら皇帝の座に着くはずだった人物だったのだ。だがハイネルは裏切り者の子として汚名を晴らす事を選ぶ。皇帝陛下がそのような自分を地球への攻撃司令官として任命したからには。
 だがハイネルの皇帝への期待はひそかに裏切られていた。ズールはザキから真相を聞く事を許されたが、それは彼が皇帝から招かれたハイネルの監視役。いわばスパイだったからだ。そして皇帝はラ・ゴールを蹴落として即位した人物であり、正統な血を引くハイネルに皇帝の座を奪われる恐れがあると警戒している。だから前線へ送り込んで勝手に殺そうと考えていたのだ。ハイネルが戦死してくれれば何も不自然がないからだ。そこでザキは今回の戦いで陣頭指揮に立っているハイネルへ更に催促させてガルゴーの操縦にあたらせ、次に脇腹の装甲が脆いガルゴーの設計図をボルテスチームに送り込む。この作戦は奴隷に作戦計画書と設計図を添えてビッグファルコンへ送ることで開始されたが、カザリーンはこの作戦を聞いてしまったのだ。

 ビッグファルコンへ奴隷を送ると、ザキ公爵の考え通りに運ばれた。作戦計画書を解読した結果ハイネルはガルゴーに敵側の最高指揮官、つまりプリンス・ハイネルが操縦している事、またガルゴーの弱点の脇腹を攻撃する事だ。ガルゴーが迫ったがボルテスチームにとっては気楽な戦い。ボルテスXに合体してガルゴーの脇腹を狙うが……全くガルゴーには通用しない。予想外の結果に戸惑うボルテスチームとザキ公爵。ズール曰くハイネルから弱点の補強が命じられており逆らう事が出来ずそれをやってしまったのだ。カザリーンの行動によってハイネルは謀殺の危機を免れ、ガルゴーでボルテスXに挑む。ガルゴーの牙がボルテスのエネルギーを吸収する。しかし、設計図の分析からガルゴーのエネルギー吸収量には限度がある。エネルギーを過度に吸収すれば自滅するが、ボルテスXのエネルギーをこれ以上渡す訳にはいかない。だが、健一にはふと目に着く機体が。それはハイネルの最期を見届けるはずだったザキ公爵の円盤。円盤を超電磁ストリングスで絡みとり、ガルゴーへ投げつけると、虎の性質か、ガルゴーは円盤のエネルギーを吸引してしまう。超電磁ゴマでザキ公爵は散り、ガルゴーもまた天空剣一文字切りによって倒された。そして脱出するハイネルはボアザン星へ使いを送る。公爵閣下は名誉の戦死をされたと……。


ハイネルの過去。敵側の謎
 キャラクターエピソードを終えて、物語の核となるエピソードです。当時発売された傑作選のレンタルビデオでもこのエピソードは収録されていました。
今回でプリンス・ハイネルの過去や状況がわかり、裏切り者の子として迫害されてきたハイネルには当時数少なかった同情すべき敵幹部ではないでしょうか。またハイネルの立場も決していいものではなく、汚名を被った状況を打破する為に捨て駒として送られた事を知らず、指揮官として戦う事に燃えるハイネルにはどこか哀愁を感じます。
 またズールが実はスパイだったという身近な敵もハイネルが利用されている駒である悲しさを上手く説明できています。またそんなハイネルの危機を救うカザリーンの活躍がGJ。いい目で見られないハイネルにもカザリーンやジャンギャルのような忠臣を持てた事は幸せですね。


今回の突っ込み

今回のガルゴーとの戦いですが、身近な円盤に反応して噛みついてしまったガルゴーはやはり虎の習性が残っていたからでしょうか。あとボアザン文字で書かれている作戦書を読める浜口博士恐るべし。


次回予告(担当ナレーション;市川治)

地球防衛軍の本部を急襲するジャンギャルの狙いは何か。襲い掛かる獣士ゴンダムを前にめぐみは無断で戦線を離れてしまう。追い詰められた岡防衛長官に危機が迫る!
次回ボルテス「夢が招いた大ピンチ!」にご期待ください!!

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