超電磁マシーンボルテスX
全話解説
第17話 愛も涙もふりすてろ!!

脚本:五武冬史 絵コンテ・演出:寺田和男 作画監督:佐々門信芳、金山明博(総作画監督)


佐近寺博士の命令で過酷な飛行訓練を続けるボルテスチーム。だがただの飛行訓練ではなく、勝手に追尾ミサイルを発射して、それを武器を使わずに振り切れという始末。もし武器を使えばボルテスチームから除名されてしまうのだ。ボルテスチームをないがしろにするような、下手したら死んでいた訓練に反発するボルテスチームをあざ笑う佐近寺博士。当たり前だがこの様な態度と、無茶苦茶な訓練にボルテスチームの不満は募るばかりだ。
  そこで博士は今回の訓練の目的を伝えた。それは最高スピードで飛びながら回転して螺旋状に陣形を作る飛行フォーメーションの形成の為だ。だがそのような訓練を行う理由が分からない。健一達はこの特訓を成功させて博士をぎゃふんと言わせようとした。最高速度で飛びあがるボルトマシーンだが、マッハ16での螺旋飛行で5人の悲鳴が聞こえ、脱落者が現れた。最年少の日吉だ。余りにも過酷な訓練に気を失ってしまったのだ。だが、着水してしまった日吉を佐近寺博士は呼び出して個人で過酷な特訓でしごく始末。血反吐を吐かせるような特訓にまたも日吉が気絶してしまう。
 幼い日吉へ大人でも無理な特訓でしごく佐近寺博士へ健一達は反発する。だが彼が求める物はメカの力を完璧に引き出す戦闘マシーン。チームワークで個人の劣りをカバーする戦いをしてきたボルテスチームの戦いはもう通用しないと言い放つ。もし完璧に機体を操る戦闘マシーンが本当に現れたらボルテスチームは即刻お払い箱。冷徹な考えを持つ佐近寺博士への不満がますます募る。
 そこで獣士ザイザルスが出現。今までの戦い方で勝利をもぎ取ろうとする健一達だが、ザイザルスはブイトゥゲイザーの瞬間に高速での体当たりでボルトインを阻もうとする。だがジャンギャルはある事に気づき、ザイザルスの改造をハイネルに申請。それによりザイザルスが引いて、ボルテスXから逃れてしまった為、ボルテスXは見せ場を作れなかった。そしてまたもや佐近寺博士の過酷な特訓がボルテスチームに襲いかかる。さらに五人の私室を閉鎖して、戦いに関与のある者以外をビッグファルコンから撤去させ、健一の射撃大会優勝のメダルを踏みつぶす始末。
 とうとう健一は限界に達した。人間性を踏みにじる佐近寺博士のやり方に嫌気がさした健一は地球防衛軍を第二の拠点として戦う事に決めたのだ。だが、帰還する直前にザイザルスが再出現。敵が弱点を知っていると忠告する佐近寺博士だが、彼らはもう聞き入れてくれない。前回のようにザイザルスを捲いてボルトインしようとするボルトマシーンだが、ザイザルスはボルトマシーンの最高速度に追いついてくるのだ。1度V字編隊を組んだ時がボルテスXにとっては最大の隙になる。
 合体を封じられたボルテスXに勝機はあるのか。そこへ佐近寺博士が特訓を思い出せと健一達に告げる。
「わしはお前たちを殺したくない。わしを信じてその五つの命を今、預けてくれ!!」
 この時佐近寺博士は本心を打ち明け、健一達は彼の教えに命を預けた。ボルトマシーンが螺旋状に陣形を組んで、コマのように回転する。この状態で体当たりをかましたボルトマシンがザイザルスを地上へ叩きおとした。ボルトインに成功したボルテスXに翼を失ったザイザルスは敵ではない。天空剣Vの字切りがあれほど自分達を苦しめたザイザルスを切りつけ、天空剣の突きでザイザルスを仕留めた時に、ボルテスチームはひとつ試練を乗り越えたのだ。
 佐近寺博士は過酷な訓練の強要を健一達に詫びた。しかしそれは彼らに生き抜いてほしかったからである。愛も涙も、人間性を振り捨てて自分と厳しく向き合うことで生まれたチームワークは従来の絆より遥かに強い。鬼となって本物のチームワークを教えた博士の想いにボルテスチームの蟠りは解けた。V字編隊の弱点は浜口博士が生前に悩ませていた所。だが彼らは自分達の力で弱点を克服した。旅立った光代と浜口博士に佐近寺博士は誓う。彼らは絶対死なせはしないと。


過激!2代目指揮官
ボルテスXでは2週連続同じ脚本家さんの回(メインライターでもある五武冬史さん、田口章一さんの回)がありますが、前回での謎やテーマに次の話を絡めている為連続性があり、また同じ脚本家さんゆえに整合性もあるまとまったエピソードが多いです。
今回のテーマは佐近寺博士の描写で、凄い人だけど彼はいったいどういう人なの?という視聴者が多分思った印象に応えるような上手な作り。序盤から笑いながら過酷な訓練を健一達に押しつけ、人間性を捨て去ろうとする、また笑いながら彼らを罵倒する佐近寺博士をおっかないと思わせて、後半で彼の訓練は十分に役立つものであり、生き抜くためには従来より強固な絆が必要と見て敢えて鬼となった真意、また最後のモノローグと佐近寺博士のキャラを描写しきった名編ではないにしろ佳作と言える出来だと思います。
浜口博士も一応厳しかったのですが、外見やまだ厳しいと言っても常識の範囲内と普通の博士っぽかったのですが佐近寺博士は前回の破天荒な登場、窮地から立て直す指揮の腕、今回の道をそれたような厳しさと真意から名無しの印象に残った博士でした。


今回の突っ込み

今回の特訓はボルトマシンスピンの為だった……まではよかったのですが、この技は1回しか登場しません。特訓してもその技や武器の出番が殆どないと何とも言えない時があります。まぁボルトマシンが必殺技を使ったらボルテスXの立場がないからかもしれませんが。


次回予告(担当ナレーション;市川治)

ボルテスチームが宇宙空間に迎え撃った円盤群の正体は何か!?地球を目前にボアザン星を脱出した剛博士達はズールの魔の手に捕らえられてしまう。父と子が再び会える日はいつか!?
次回ボルテスX「父よ!地球は近い!!」にご期待ください!!

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