超電磁マシーンボルテスX
全話解説
第29話 ボアザン星の勇士

脚本:五武冬史 絵コンテ・演出:横山裕一郎 作画監督:金山明博


自分達にボアザン星人の血が流れていたとは。剛三兄弟の心は震えた。だが五人の絆は揺るがなかった。自分達は地球人であることに変わりはない。そしてボアザン側にも立派な人物がいる事を知ったからだ。
 ダンゲ将軍の死を知らず、始末できなかった事に怒りを燃やすハイネル。貴族の身でありながら反乱軍に参加する為に労奴へ身を落とした彼は裏切り者。貴族の恥であるからだ。そしてベルガンは今回の鎧獣士に最強の拳闘士ギルオンを招く事にした。彼は一流の戦闘能力の他に、誇り高く兵士思いの男。例え鎧獣士の座と命を賭けた兵士たちの遺体は丁重に扱うべきだと進言する男だった。
 彼の使命はダンゲ将軍を連れ戻す事。鎧獣士に改造されたギルオンはビッグファルコンへ接近。迎撃するボルテスチームだが、ブイトゥゲイザー直前にボルトブリゲートが捕まってしまった。ダンゲ将軍を返せと要求するギルオンだが、彼が亡くなられた事を知り戸惑いが隠せなかった。彼はダンゲ将軍を尊敬しており、彼の死を知って、何のために戦えばいいのか分からなくなってしまう。
 ギルオンが出した結論は、ボルトブリゲートを解放して、命を賭けた1対1の勝負を挑む事。彼の堂々とした振舞いに健一は彼の名前を聞いた。そしてボルテスXとギルオンの死闘が始まるが、ボルテスXは超電磁ボールをギルオンにかける事へ成功。あとは天空剣で切りかかるのみだが、ボアザンに殉じる覚悟をもったギルオンを前に健一は超電磁ボールを切りはらってしまう。
 ギルオンを殺す事が無益の戦いだと思った健一は自分達がボアザン星人の血を引く者であると告げ、戦いたければいつでも戦うとギルオンを逃がした。しかし、ギルオンの敵前逃亡と、健一達がボアザンの血を引く事に怒り、ギルオンを鎧獣士ザルザで処刑する。彼は労奴の家庭に生まれた角を持つ男。角を持っても階級の差を覆せない、出来ればダンゲ将軍の部下でありたかったと皮肉を告げて、ダンゲ将軍の栄光を叫んで銃弾に倒れて果てた。
 ビッグファルコンへ現れたザルザはギルオンの亡骸をボルテスXへ見せしめに送った。ギルオンの敵を討たんとボルテスXは怒涛の勢いでザルザを押して、Vに怒りを込めた。
 父がやられたと思った健一達はボルテスXで出撃するがカガミキリに苦戦してしまう。しかしダンゲ将軍の、彼らからは父と思い込んでいる人物がまだ無事だった所を見て健一達の闘志は戻り天空剣二段切りが二重のVを描いた。ザルザを葬り去り健一はジャンギャルに伝える。ダンゲ将軍とギルオンは自分達が丁重に葬ると。そして、2人の棺を乗せた船は海底へと沈み、弔砲と花束が贈られた。貴族の身を捨てて剛博士の同志となったダンゲ将軍、敵でありながら真の誇りを持ってボルテスXに挑んだギルオンよ、安らかに眠れ……。


ダンゲとギルオン。血が敵へ波紋を起こす
敵側の良心的なゲストキャラが登場する唯一のエピソード。ダンゲを敬愛していたギルオンですが、貴族の身から自ら労奴となったダンゲと、労奴の子に生まれたせいで角を持っても戦奴にしかなれないギルオンには不思議な差別の壁を感じます。そして前回明かされた謎が早速駆使され、ギルオンが健一の話を信じますが、ハイネルはまだ信じてくれない模様。健一がボアザン星人の血を引く者であることを明かされるまでが新たなテーマみたいです。
 鎧獣士でありながら、誇りを持ち、ダンゲを敬うギルオンを演じたのは数々の獣士やモブキャラを演じた黒部鉄さん(現・屋良有作さん)こういう役を演じる事が出来て良かったですね。


今回の突っ込み

今回は特にないです。


次回予告(担当ナレーション;市川治)

1人カザリーンを追い詰めた健一に新たな危機が襲い掛かる。ボアザン星人の名誉と誇りを賭けたピリンすハイネルの剣がきらめく時、流氷の上に立つ者は誰か!?
次回ボルテスX「地球を賭けた一騎撃ち」にご期待ください!!

BACK BACKNEXT

inserted by FC2 system