超電磁マシーンボルテスX
全話解説
第30話 地球を賭けた一騎討ち

脚本:桜井正明 絵コンテ・演出:山崎和夫 作画監督:金山明博


聖なる鷹の血で身を清めようとする儀式はボアザン星にとって死を覚悟する儀式。儀式を行おうとするハイネルにカザリーンは自分に何故死ねと言わず、ハイネルが何故死ななければいけないのか。ハイネルにカザリーンは問うが彼の決意は変わらなかった。
 ハイネルの目標は剛三兄弟の抹殺。今までの戦いによる者もあるが、ボアザン星の血を引く事が信じられず、自分達を侮辱するような真似だと思ったからだ。今回の作戦はビッグファルコンへの総攻撃だが、何故かカザリーンの姿はなかった。彼女は逃げたのかと思ったハイネルだが、カザリーンは最後の奉公として健一を抹殺しようと1人飛び出したのだ。
 健一はジェーンと名乗る女性の手紙を受け取ったが、そのジェーンがなんと剛博士の行方を知っているのだ。明日の早朝5時。美咲が丘の教会で1人で来いと書かれ、健一は1人飛び出してしまう。
 ジェーンに出会った健一だが、教会は時限爆弾で爆発してしまい、彼女の変装は解けてしまう。彼女がカザリーンだと知った健一は逃げる彼女を射殺しようとするが、もし彼女が逃げたら、自分が後を追う事で地底城、そして父の居場所が分かるかもしれないと思ったからだ。事情を説明してボルト・クルーザーを送るよう連絡するが、ボアザン円盤でカザリーンは健一を抹殺せんと必死だ。
 一方カザリーンの独断行動を知ったハイネルはある作戦を思いつく。それはカザリーンが健一を食いつかせていれば、ビッグファルコンには4機のボルトマシーンしか揃わない事だ。合体できないボルテスXに脅威はない。鎧獣士カマゲリラがビッグファルコンへ出撃。佐近寺博士から報を聞いてやむを得ず引き返そうとする健一だが、ボルト・クルーザーの後ろにはハイネル自らが操縦する戦闘機が現れ、着陸すれば彼自身がボルト・クルーザーの前に現れて叫んだ。

「降りてこい健一!1対1で戦うのだ、この私の命を賭けて地球を明け渡してもらおう!!」

 彼の命か、地球か。健一にボアザン星人の血が流れているならば、一騎討ちを拒む理由はない。地球の為、全宇宙の為。其々の想いが剣と剣との間で交錯する。互いの命を賭け合う事に惜しむ事はない。だが健一の剣がハイネルによって飛ばされた。しかし土壇場でハイネルの足を挟み込み、角に手を賭けてハイネルを投げ飛ばす。体勢を立て直した二人は剣と剣で勝負を挑むが、健一は胸を切られ、ハイネルは額を切られ同士討ちの結果となった。そして2人はカザリーンとめぐみによってそれぞれ助けられるのだった。
 カマゲリラにボルテスXが立ち向かうが、カマゲリラは2機に分身してボルテスXを挟撃しようとする。だが、グランドミサイルで挟撃に隙を作り、2機もろとも超電磁ボールVの字切りの餌食となった。
 自分に恥を欠かせた事を怒るハイネルだが、カザリーンは自分をハイネルが救ってくれた事に感謝をしていた。最もそれはボアザン星人の無様な敗北を地球人に晒したくなかったと告げるが。いまだに地球征服の野望を果たせない司令官プリンス・ハイネルの立場が苦しい故かもしれない……。


ツンデレハイネル?うっかりハイネル?
健一とハイネルが一騎打ちを交わすエピソードです。桜井正明さんの脚本回はやはり何かに引かれて独断行動を取ってしまう展開をテーマにしており、父の居場所に引き寄せられて健一はハイネルとの一騎打ちを挑むことになります。
 ハイネルの視点からすれば、終盤のカザリーンを救った際のハイネルのセリフで、無様な敗北を地球人に晒したくないと言い張る台詞はツンデレっぽさを感じます。最終回まで見ればツンデレだった事に間違いはないと思います。
 あと剣と剣の戦いはどちらかといえば剣より銃の健一には不利で、実際に剣を先に飛ばされています。ですがハイネルの足を挟み込んで形勢逆転に出る所は、大次郎から武術を教わっていたかもしれませんね。


今回の突っ込み

今回、ハイネルの作戦はカザリーンの独断行動で食い付いた健一の隙を突いて、四機のボルトマシーンに鎧獣士を出動させるいわば挟撃作戦ですが、その状況で「正々堂々戦え!」というのは少しどうかと思います。健一を逃げさせないための作戦か、それとも一度戦ってみたかったのか。どっちなんでしょうか。


次回予告(担当ナレーション;市川治)

突如めぐみを捕らえた輝く宝石の秘密とは何か!?岡長官の行く手に鎧獣士ダイアンドの魔の手が襲い掛かる。卑劣なベルガンの作戦とは!?
次回ボルテスX「岡防衛長官空に散る!!」にご期待ください!!

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