合身戦隊メカンダーロボ 全話解説
最終回 メカンダーロボよ永遠に

1977年12月22日 脚本:海堂清彦 演出:中野健治 作画監督:村田四郎


誰がこんな最終回にしたのか〜戦いの末、ジミー・オリオンは何を手に入れたのか〜
合身戦隊メカンダーロボの最終回は、当時のロボットアニメにおいて衝撃的な要素があります。この最終回も新作パートは5分未満で、(上の画像は、次回予告で流された本編未使用カットです)第1、2、4、6、11、19、23、34話の総集編になっている点でも衝撃的ですが、僅かな新作パートにも、衝撃的な要素が含まれています。

まず、最終回で遂にヘドロン皇帝が姿を現しましたが、ヘドロン皇帝はメカンダーロボに倒されることもなく、
惑星の自浄作用で体が崩壊して最期を遂げると言う、ロボットアニメのボスとして、余りにも前代未聞な最期を遂げています。本来ならヘドロン皇帝と決着をつけるつもりだったのかもしれませんが、これも制作体制の崩壊故に起こって出来事でしょうか。最後まで決着がつかなかったボスキャラとしては、「グレートマジンガー」に登場し、ミケーネ帝国の壊滅とともに眠りについたまま決着がつかなかった闇の帝王(但し、小説や桜多版グレンダイザー、第2次スパロボαでは決着がついている)「ギンガイザー」に登場した、ギンガイザーを前に地球侵略を諦め撤退した帝王カインダーク以下ザゾリオン軍団の全幹部の前例がありますが、ここまで情けない最期を遂げたボスはそういないでしょう。(但し、桜多版グレンダイザーでの闇の帝王は、甲司に脳の入った培養ケースを落とされて死ぬというヘドロン皇帝に勝るとも劣らない最期を遂げている)
しかし、さらに衝撃的な要素として、一時地球の95%を支配したコンギスター軍団は、
他の惑星の侵略に失敗ばかりだったという衝撃の事実が明らかになったことです。そう考えると他のロボットアニメの宇宙からの侵略者より、コンギスター軍団は弱そうです。全宇宙の帝王になると宣言したまでは良しとしても、惑星侵略に失敗ばかりで、自浄作用を前にやられたヘドロン皇帝は、自業自得というか……何とフォローしてやったらいいのか良く分かりません。
それよりも、勝ったとはいえ一時過半数以上が制圧された地球は、他の星よりも弱いということかもしれません。だから地球は宇宙からの侵略者の標的にされると言う事でしょう。がんばれ、地球。

 そして、メカンダーロボの最後こそ最も衝撃的だったのかもしれません。確かに地球の平和は守られ、ガニメデ星も元の自然を取り戻し始めました。これを聞くと、ジミーは今まで戦った仲間たちに別れを告げて、ガニメデ星に帰って、ガニメデ星の王子としてガニメデ星人とともに星の再興を目指して頑張ろうみたいな終わりになると思いますが、ガニメデ星人は全員既にコンギスター兵に改造されて、メカンダーロボとの戦いで死亡しています。(考えようによってはジミーは同胞をその手で皆殺しにしたことにもなる)さらに、生まれ変わったガニメデ星は既にあの頃のガニメデ星でもなく、母メデューサは勿論、肉親や親族もいません。

 苦しかった戦いを乗り越え、15年ぶりにジミーが足を踏み入れた故郷は、彼を受け入れようとはしない環境でした。まるで今までの戦いは何だったのか……のような心境で夜空を見上げ、母の面影を思い浮かべるジミー。そして、ジミーは絶望したかのように、一人、仲間たちの元から去ります。(この時、EDが流れているところが、ジミーへの哀愁を見事なまでに引き立てています。)

メカンダーロボの最終回は、ロボットアニメ初のバットエンドと言ってもいいでしょう。一体何でこんな最終回になってしまったのでしょうか。ひょっとしたら、スポンサー倒産で、メカンダーロボが不名誉な形で打ち切られたことからへの、スタッフの心情の表れかもしれません……。まさに、メカンダーロボは最後まで不遇な作品だったともいえます。


総評〜メカンダーロボとは何だったのか〜

 合身戦隊メカンダーロボは、従来のロボットアニメに新風をもたらそうとした作品だった事が分かりました。日本以外はほぼ全滅という敗戦濃厚なムードから物語をはじめ、世界各国を舞台にして、避難民の救出、敵部隊の偵察、食料物資の確保、輸送作戦の護衛、占領都市の奪回など従来のロボットアニメでは考えられていなかった展開が、ストーリー展開をリアルなものにしていたと思います。特に1クールはその要素が強く。後述するオメガミサイルの存在もあいまって緊張感が高い良作が多い時期です。
 メカンダーロボも無敵のスーパーロボットから一歩引いた立場で描写され、弾薬や航空距離に制限があったり、合身前は無防備だったり、そしてオメガミサイルという天敵が存在していると、コンギスターを前に無敵の強さを見せる反面、そのような弱点を内包したロボットとして描かれています。特にオメガミサイルは、メカンダーロボの足かせとして物語に緊張感を与えることに成功しており、オメガミサイルをどうかわすか、そして時にはオメガミサイルをどう利用するかなど、弱点として描くだけではなく、考えようによっては強力な兵器という見方も出来る実に器用な兵器でした。その為、中盤でオメガミサイルがなくなってしまったことが残念で仕方ありません。

 一方、そのような一味違う戦闘シーンに力を入れすぎた反面キャラクター面では、どうしても押しの弱さが目立ってしまいました。群衆劇をイメージした合身戦隊のメンバーですが、前例ともいえるガイキングの大空魔竜隊と比べると、キャラクターの個性が薄かったともいえます。ジミーとメデューサの母と子の葛藤は面白いものがあったとはいえ、第2話からの伏線も今一つ活かされないまま物語が終わってしまいました。(それでも、第23話は名作ですが)
 作画面でも、グロイザーXとまではいかないでも、二宮氏や小国氏以外の回は基本的に低調で、スポンサー倒産以前でも、流用カットが多く見られたのは残念でした(特に戦闘シーン)基本的に当時は、東アニやサンライズ及び東映本社作品以外のロボットアニメの作画レベルは低かったのですが、もう少し頑張ってほしかったと思います。

人間ドラマや作画面の低調を除いても、メカンダーロボの世界観は目を置くものがあり、スーパーロボットにリアルな戦記的な要素を付加した物語はスタッフによって貫かれました。しかし、やはり途中での制作体制の破綻がなかったら……と思いたくなります。それが原因であの最終回が生まれたこともあるかもしれないので、そう考えるとメカンダーロボは本当に不遇な作品だったと思います。しかし、メカンダーロボによってもたらされたリアルな戦争描写は、ガンダムをはじめとするリアルロボットアニメの先駆けになったのではないかと思います。メカンダーロボはメジャーなロボットアニメを前にかき消されるように陰に隠れましたが、メカンダーロボがもたらしたものは、ロボットアニメ史においては決して小さいものではないと私は思います。

最後に、このページを最後まで見てくださってありがとうございます。これを機にメカンダーロボに少しでも興味を持ってくれたらと思えば嬉しく思います。

合身戦隊メカンダーロボ 完

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