ゲッターロボ 全話解説
第51話 恐竜帝国の滅びる日

脚本:上原正三 演出:山口康男 作画監督:小松原一男


 絶体絶命の危機に陥ったゲッターロボ。早乙女博士からの撤退命令に止むを得ず従い、ダイの東京進撃を許してしまう。恐竜帝国の攻撃を前に国防軍はことごとく敗れ、ゲッターチームが出撃しても犬死同然と言う早乙女博士に対し、ムサシは場合によっては特攻する必要だってあると主張する。
 しかし圧倒的な火力を誇るダイに弱点がある事を早乙女博士は見抜いた。ダイの口から爆撃機が出撃、帰還する飛行ルートが無防備であり、ゲットマシン3機にロケット弾を設置し3機でゲッターロケット弾を形成してギリギリの射程範囲外でダイの口をめがけて叩き込む作戦である。ロケット弾を装備したゲットマシンが出撃、襲いかかるモバを一斉攻撃で粉砕し、ゲッターロケット弾のドッキングを開始するが、ベアー号がゲッターロケット弾のドッキングに失敗してしまい、ダイの一斉砲撃を受けてゲットマシンは炎上し大破。リョウ達は脱出したがゲッターロボを失いもはや恐竜帝国に一矢報いる事は絶望的だった。
 ムサシはゲッターロボを失ってしまった事、そして負傷したリョウとハヤトを前に何をすべきかいいかともがき苦しんだ。早乙女博士はコマンドマシンに小型の高性能ミサイルを搭載して出撃しようとするが、既にミチルと武蔵がどちらかが出撃するかの状況に追い込まれていた。

「ごめんよミチルさん。おいらミチルさんが大好きです!だから危険な目に遭わせたくないんです!」
 
 しかしムサシはミチルを気絶させて出撃を選んだ。ムサシに何を言って求める事は出来ない。出来る事は作戦を無事成し遂げて生還する事だけであった。コマンドマシンの目の前には戦勝ムードに酔いしれている。一矢報いようとするムサシだが、ザロの攻撃でコマンドマシンのエンジンがやられ高性能ミサイルも放つ事が出来ない。覚悟を決めたムサシはダイへ特攻を果たし、暴走したダイがザロをかみ砕き、うたげに酔いしれる帝王ゴールと大魔人ユラーの館を踏みつぶして爆破四散。これにより恐竜帝国は遂に滅び去ったのだ。だがムサシは帰ってこない。平和のための礎となって散った彼は帰ってこないのだ。その上、恐竜帝国に代わり帝王ブライが率いる百鬼帝国が人類支配のために行動を開始した。新たなる戦雲が訪れる中、ゲッターロボを、ムサシを失った早乙女研究所の運命は如何に!?


特攻せざるを得なかった、だけど生きて帰りたかったムサシの悲しい心境

 ロボットアニメ史における有名な最終回の一つ。こうして視聴してみるとムサシの立場が随分と追い詰められている事が感じられます。作戦も自分のミスで失敗してしまい、その作戦が失敗した事によりゲッターロボは失われ、リョウとハヤトは重傷を負ってしまった。この状況でリョウ達に気にするなやゆっくり休めと言われても立場からすれば厳しいものでしょう。汚名を返上した彼の気持ちには、それを行うには犠牲も覚悟しなければいけないのは承知だったはずです。
 ですが死ぬよりも、任務を達成して無事帰還したい方の心境の方が強かったはず。ダイの攻撃でエンジントラブルを起こしてしまい特攻以外の方法が防がれてしまった所は気の毒そのもの。原作では潔く特攻する覚悟があったのに対し、アニメ版では生きたかった意志が現れている故に、より哀れに感じてしまいます。最もアニメ版の武蔵が死にたくない弱腰ではなく、必ず生きて帰って見せる立派な意志を持っていた事は言うまでもありません。また怒濤の勢いで襲いかかるダイと恐竜帝国を打ち破ったのがムサシ一人の執念と決意だった事は彼にとっても報われたはずだと信じてあげたい所です。
 ただ、ムサシが命がけで掴んだ平和も瞬く間に百鬼帝国が登場した所で初代ゲッターロボのエピソードは終わってしまう為こちらにはあまり余韻がありません。この状況でどうするのかというところでゲッターロボGへ続きます。


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