ゲッターロボG 全話解説
第11話 百鬼帝国!将軍への道

脚本:上原正三 演出:葛西治 作画監督:野田卓雄


 撤退した要塞島を探索するゲッターチームの行動に、ブライ大帝は窮地に追い込まれたものと悟る。そんな彼に自雷鬼が早乙女作戦を進言。ゲッターロボを要塞に捕まえて後はゆっくり料理する彼の作戦にブライ大帝は感服。成功した暁にはヒドラーの側近である将軍のポジションを手にしようとの要求も認める。
 しかし、彼の作戦にはある恨みを成し遂げんとする覚悟もあった。それは父の自雷将軍が裏切りの罪を着せられてヒドラーに殺害された事であった。ヒドラーもこの自雷鬼の目標を知っており、彼の作戦を阻止しようと早速要塞に破壊工作を仕掛ける。この破壊工作により石油が海面に漏れ、ゲッターチームは自雷鬼の作戦を知り、再度出撃する。
 現れたメカ自雷鬼を応戦するゲッターチームだが、メカ自雷鬼が撤退した要塞島壊滅させる事が出来ない為、止むを得ず撤退する。作戦を練り直そうとするゲッターチームだがメカ自雷鬼が今度は自ら襲いかかってくる。立ち向かうゲッタードラゴンが本体を撃墜し、頭部が逃れた要塞島へ突入するゲッターチーム。だが、これこそ自雷鬼にとって最大の罠である。要塞島はゲッターの解体工場としてチェーンソーがゲッタードラゴンの腕を切り落とし、首をも切り落とそうとする。
 もうこれまでか――その時、チェーンソーが破損、瞬く間に要塞島が壊滅する自雷鬼にとって予期せぬ事態に陥った。ヒドラーのスパイが要塞島に細工を加えていたのだ。
「こっちへ来るな。自爆装置のボタンを押した。はやく、はやく早くここから出るんだ。だが、言っておく。俺はお前に負けたんじゃない。ヒドラーに負けたんだ。俺は将軍だ、将軍だ、将軍だ……自雷将軍だ!!」
 父の汚名を晴らそうとした自雷将軍は内なる敵による悲しい最期を遂げた。事情を知らないミチルはこの勝利を喜ぶが、脱出したゲッターチームは言う――勝たせたようなものだと。


敵の内なる争い〜上原正三脚本のポイント〜

 さて、このエピソードで重要なのは金田作画……もありますが上原正三さんがお得意とする“有能な敵を陥れる味方”という描写が本格的に描かれた点ではないでしょうか。ヒドラー元帥があんな憎々しい(誉め言葉と捉えてください)キャラに化けた点は緒方賢一さんの名演と上原正三さんのキャラ描写があってこそ。今回を含め第14、16話はヒドラーが嫌な奴と十分感じさせてくれる裏ヒドラー3部作と勝手に命名します。
 今回のゲストキャラが思った以上に強い→中間管理職ポジションからすれば出世を妨げる厄介な奴→そいつを始末してトップにはとぼけたふり
 このフォーマットは形を変えながらも“敵は所詮内輪もめするから主人公には勝てない”とのテーマを一貫しています。ロボットアニメではグレンダイザー、アルベガス、レザリオンなどで見られ、特撮では「電子戦隊デンジマン」「太陽戦隊サンバルカン」「宇宙刑事ギャバン」などがあります。
 初代ゲッターロボでは近い例として
・第16話(地竜族のシック/帝王ゴールら幹部全員で利用するだけ利用して始末)
・第18話(キャプテンザンキ/ザンキが勝手に暴走した為処刑される)
・第34話(女竜戦士ユンケ/ゴールが妬んでいたが、彼女の躊躇いがきっかけで大魔人ユラーに粛清される)
 がありますが、中間管理職が始末するフォーマットは今回が初めてです。自雷鬼は父の汚名を晴らす為万全な作戦で挑んだのに、ヒドラーのせいで全てが台無し。最後の勝たせたようなものだと言わせたゲッターチームの描写もよし――本当だよ!(by自雷鬼)


今回の突っ込み

今回は特にありません。


次回予告(ナレーション:キートン山田)

アメリカ西部でダイヤモンド強盗追跡中のパトカーが一瞬のうちに叩き潰される事件が起きた。捜査に乗り出したリョウ達は、そこに百鬼帝国の支部を発見し、攻撃を開始した。だが、巨大な鞭で襲いかかるメカ邪角鬼。
次回ゲッターロボG「遥かなる荒野の決闘」にテレビ・スイッチ・オン!

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