合身戦隊メカンダーロボ 全話解説
第17話 オメガミサイルを撃滅せよ!

1977年7月7日 脚本:海堂清彦 演出・作画監督:正延宏三


 メカンダーロボの活躍を制限するオメガミサイルを射出する7基の静止衛星は、接近する物体に対し自動的に攻撃を仕掛ける宇宙要塞でもあった。だが、この静止衛星を破壊しない限り、メカンダーロボを自由に動かすことはできない。さらに、食料や燃料も底が見え始め、地球防衛軍が戦える期間は半年しか残されていないのだ。
その前に、反攻作戦を仕掛けないと地球防衛軍は敗北する。そこで山本長官は、防衛軍本部で練った静止衛星の破壊作戦を明らかにした。
 それは、メカンダーマックスが、静止衛星が反応しないぎりぎりの距離まで接近している間に、日本アルプス乗鞍岳山頂に設置した妨害電波発信機で、静止衛星の防衛機能を撹乱し、その隙に静止衛星を破壊する。さらに、静止衛星を破壊したと同時に、電波反射鏡を装備した人工衛星を打ち上げ、地球からの妨害電波を反射させて、次の静止衛星をかく乱させるという2段構えの作戦だ。ジミーと小次郎はその作戦に賛成するが、竜介は作戦の失敗を危惧し、自分たちがいない間に妨害電波発信機を守りとおせる自信があるかを山本長官に問い詰め、その作戦を反対するが。だが、博士は作戦に成功の保証はないと説得するが、竜介は自分たちに死ねというのかと、博士に問い詰めると、博士はそれを認めてしまった。その事実を知った三人は驚愕するが、博士は三人に死を覚悟するようにと肝に銘じさせた。
 乗鞍岳の様子は、コンギスターのスパイ衛星・ドロンボに撮られてしまい、メデューサは大作戦の予兆だと、オズメルに知らせるが、彼は聞く耳を持たない。しかし、ヘドロン皇帝からの言葉を受け取ると、すぐさまメデューサに乗鞍岳の攻撃を命じた。
 そして、明朝6時。作戦開始の時刻とともに、宇宙戦用に改造されたメカンダー各機は宇宙へ出撃した。だが、その直後にコンギスターの大機動部隊が、乗鞍岳に向かっていた。作戦が敵側に感づかれてしまったのだ。
作戦が敵側に知られたことを合身戦隊に伝えない博士。ミカがその理由を聞くと、もし地上の状況を知ったら、彼らが引き返す恐れがあったからだ。仮に引き返さなくても、作戦実行に不安が付きまとえば、作戦が失敗する可能性も高くなるからだ。それが故に博士は、心を鬼にしているのだ。ミカは博士に反発するが、彼は戦いの勝機は、結果となって歴史に残って初めて知らされるものだと言った。
 作戦開始2分前の状況で、コンギスターの大機動部隊が、防衛ラインを突破した。この2分の間が勝負の分かれ目だ。そして、妨害電波発信機が妨害電波を放ったが、メデューサがそれに気づき、残った大機動部隊で総攻撃を仕掛ける。地球防衛軍と大機動部隊の激戦が続いたが、残ったメデューサの円盤が妨害電波発信機を破壊してしまったのだ。その為、静止衛星の自働防衛機能が復旧してしまい、メカンダーマックスが放ったブルサンダーを、オメガミサイルで相内にしてしまった。
 地上の状況を知らない合身戦隊はその状況を理解出来なかったが、迫りくるオメガミサイルを見て、作戦失敗を悟ったジミーは地球へ帰還しようとする。だが、竜介はオメガミサイルに向けてブルサンダーをぶつけた。竜介の行動に戸惑う2人だが、竜介はその間にオメガミサイルへの対策を考えろと命令する。帰還命令が出されていないことから、博士や地球防衛軍が自分たちに期待していると2人に説明し、竜介は、この戦いを通じて、必死で戦っているのは自分たちだけではない事に気づいたのだ。
 ブルサンダーでオメガミサイルを、撃ち落としている間に、小次郎の一言から竜介は勝利への糸口をつかんだ。それは、静止衛星に搭載されたミサイルをからにしてしまうことだ。そうさせるには、高精度の自働防衛機能を利用して、ジャイロン機関砲をオメガミサイルに向けて、連発する事だ。竜介の思惑通り、静止衛星はジャイロン機関砲の弾に反応して、次々とオメガミサイルを射出し、弾が尽きた所を、ブルサンダーで静止衛星を破壊した。
 そして、それと同時に人工衛星が撃ち込まれ、妨害電波発信機の修理も完了した。その人工衛星を活かして、メカンダーマックスは2基の静止衛星の破壊に成功する。しかし、残り4基の静止衛星が、メカ獣・クラゲラーに合体した。メカンダーマックスは発射されたメカンダーロボにパワーイン。メカンダーフェンサーでクラゲラーを撃破した。
恐怖のオメガミサイルで、メカンダーロボを苦しめた静止衛星は撃滅された。これで、メカンダーロボは自由に活躍できる事になった。だが、はたしてオズメル大将軍は、それを許すだろうか?次に、どんな手で対抗してくるだろうか?負けるな!メカンダーロボ!!


評価の分かれる中盤最大の山場
今回の話は、評価が難しいエピソードともいえます。このエピソードをシリーズ全体として見るか、1話として見るかで評価が分かれるからです。
まず、1話として見ると実にクオリティーが高いエピソードに仕上がっています。今回メカンダーロボは、クラゲラーに止めを刺すだけの登場で、それ以外は防衛隊と大機動部隊の激戦、メカンダーマックスに託された過酷な作戦が、丁寧に仕上がっています。その中で、慎重な竜介が、あまりに危険な作戦に反対するが、作戦の遂行を通して、自分達だけが戦っているのではないと自覚しますが、従来のロボットアニメの基本的にやられ役に徹した防衛隊でないからこそ、言える言葉ではないかと思います。防衛隊の作戦も、かなり緻密な作戦です。そして、第8話(高度な防衛機能)と第14話(弾切れ)でさりげなく見せた静止衛星の特徴を、弱点として活かしたのもポイントです。あと、この話ではジミー、竜介、博士が心にしみる言葉を残してくれています。

ですが、シリーズ全体として見ると、正直勿体ないエピソードかもしれません。終盤に置かれていたらまだ納得がいくものの、中盤でオメガミサイルを排除してしまったら、物語の魅力が減ってしまうからです。オメガミサイルという要素は、メカンダーロボを従来のロボアニメから乖離させる大事な要素の一つです。制限時間がある中での戦いだからこそ、戦闘シーンにスリリングとリアリティーが湧き、オメガミサイルも単なる脅威だけではなく、考えて利用したりと、戦闘シーンをさらに盛り上げてくれる要素でもありました。そのオメガミサイルがないと、メカンダーロボの戦闘シーンは、従来のものと同等、いや、派手な必殺技がないことが災いして戦闘シーンのトーンダウンは避けられないものとなってしまいます。その後も断発的にオメガミサイルは登場しましたが、すぐに消えてしまいました。

ひょっとしたら、制限時間があるロボットは弱そうに見えるや、もっと敵にとどめを刺してみたいな事が、はがきに書かれてそうなったのかもしれません。しかし、できることなら終盤近くでこのエピソードはやってほしかったと思います。ひとつのエピソードとしての出来は良かったのですから。

ちなみに、今回宇宙戦用に改造されたと博士は言っていましたが、第8話でメカンダープレーンは宇宙へ行っています。もっとも強度的にかなり問題があったようですぐに大気圏内に帰還しましたが。

 個人的評価
 ストーリー オメガミサイル撃滅という重要なテーマを題材にしただけに、話に抜かりなし。前半のクライマックスの一つかも
キャラクター  一大作戦に臨むそれぞれの心境が上手く表現できています。作戦への緊張感が現れています。
 バトル どちらかと言えばメカンダーマックスや防衛隊の活躍の方が良かったかも。メカンダーロボの活躍は微妙
 作画 悪くはなかったけれど、二宮さんの作画で見たいと思ったのは贅沢?

今回の突っ込み
……クラゲラーあっけなさすぎ。出来ることなら前後編で描いてほしかったかも。


次回予告

キングダイヤモンドの秘密が、とうとうコンギスター軍団に知られてしまった。スタジアムに目を付けた奴らは、ミサイルの誘導装置を仕掛け、一挙に俺たちを叩きつぶす作戦に出たんだ。その命令を受けた謎の男が、グランドに侵入し、そこに一人でいたユータに近づいた。気をつけろユータ!そいつは、コンギスターの回し者だ!!
次回、合身戦隊メカンダーロボ「狙われた秘密基地!」にスイッチ・オン!

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