合身戦隊メカンダーロボ 全話解説
第23話 母よ永遠に眠れ

1977年9月1日 脚本:海堂清彦 演出:林政行 作画監督:二宮常雄


 防衛軍の潜水艦・アリゾナ三世をテストにして、驚異の性能を見せつけたヘドロン皇帝の設計したメカ獣編隊・メカタイガーシャーク戦隊。だが、オズメルはメデューサにそのメカ獣を託すことを望んでいなかった。何故ならメデューサは最近様子がおかしく、ガニメデ星の王女としての記憶を取り戻しつつあったからだ。だが、ヘドロン皇帝からの命令で、メカタイガーシャーク戦隊はメデューサに託した。
 山に偽装していたキングダイヤモンドで、山本長官各地で防衛軍の艦隊がメカタイガーシャークにやられた事を知らせた。幸い東アフリカで避難民を救出をしていたために難を逃れた機動部隊があったが、その部隊も何時狙われるか分からない。さらに多くの避難民を乗せた輸送艦隊を護衛している機動部隊は、タイガーシャークが暴れまわっているマラッカ海峡を通ろうとしている。その護衛を山本長官は合身戦隊に依頼してきたのだ。
 だが、小次郎は連合軍が護衛に回らないことを不服に思い反対。地球の為に、連合軍を危険な目に遭わせられないとの山本長官の考えに小次郎は真っ先に反対し、痛烈な皮肉まで浴びせてしまい、さらにミカまで連合軍の行動に反対する。だが、山本長官の苦悩と、現状の艦隊ではタイガーシャークを叩けないと判断したジミーは避難民の救出に向かう。竜介の言葉に乗せられ小次郎も、避難民救出に賛成し、メカンダー各機で出撃した。
 輸送船団と合流した直後、合身戦隊はメカタイガーシャークに遭遇し、メカンダーマックスに合体して機体を撃墜する。だが、その1機は前兆に過ぎず、15機のメカタイガーシャーク戦隊が現れ、合身戦隊と機動部隊を相手に壮絶な戦いを繰り広げる。その戦いの中でタイガーシャークは合体し、メカ獣・ドラゴンドリラーに姿を変えた。
 機動部隊と輸送船団を守るために、メカンダーマックス単身でドラゴンドリラーに挑む合身戦隊だが、メカンダーロボを倒す事に執念を感じるようなドラゴン鳥ラーを前に、メカンダーマックスは苦戦。メカンダーロボに合体するも、メカンダーUFOダブルをドリルで貫き、ジョーズを受けてもビクともせず、メカンダーフェンサーで攻撃に出ようとしたとき、ドラゴンドリラーによってメカンダーロボは締め付けられてしまい、その機体からのドリル攻撃で、機体は貫かれてしまい、地面に激突したメカンダーロボはとうとう爆発を起こしてしまい、炎上してしまった。メカンダーロボを撃破した事に喜ぶメデューサだが、激しい頭痛とともに彼女は倒れてしまった。
 コクピットの中の2人は、意識がなく、ジミーはメカンダーマックスを脱出させようとするが、機体の残骸が障害となって、メカンダーロボから離脱する事が出来なかった。そして、機体の爆発を前に、彼も意識を失ってしまった。
 その頃、オズメルからの命令が下る仲、元の姿に戻ったメデューサは、メカインコから自分がメカンダーロボを倒したと知って衝撃を受けた。ジミーの危機を救うため、機体から出て、レーザー銃で残骸を破壊。メカンダーマックスを脱出させるのに成功した。不時着して、コクピットから落ちたジミーを見て、すぐに彼のもとに近づくメデューサ。だが、彼女の手が変わってしまい、既にメデューサは、コンギスター軍団のメデューサ将軍に戻ろうとしていたのだ。メカインコから今まで自分は、息子のジミーと、メカンダーロボを苦しめ続けていたその事を知り、今から自分が息子に手をかけようとしていると聞かされ、再会を果たせたのに実の息子を抱くことも許さない運命を前に、メデューサは王家のブレスレットをジミーに託し、ドラゴンドリラーに戻り、姿が変わらないうちにドラゴンドリラーを自爆させ、運命を共にした。
 その後、意識を取り戻したジミーは目の前でドラゴンドリラーが炎上している事と、母のブレスレットが置かれている事から、ある事を察したのだった。

 ジミーは知らない。メカンダーロボ歳大の危機を救ったのが母メデューサである事を。だが、ジミーははっきりと見た。メカンダーロボを粉々に砕いたドラゴンドリラーの中で、コンギスターの女将軍メデューサが、炎に包まれその姿を消していった事を。運命の糸に操られた一人の薄幸な母親が死んだ。そして、メカンダーロボも。かくて、メカンダーロボは最大の危機に追い込まれた。明日はどう戦う、メカンダーロボ!ジミー、竜介、小次郎!!


第一部完。メカンダーロボ屈指の傑作を見逃すな。
メカンダーロボで一番盛り上がる回といえば、この回をあげます。当時からでもどちらかといえば低レベルなクオリティだったメカンダーロボの中で、高レベルで安定していた作画監督・二宮常雄氏の腕も光っていますが、メインとなるのはジミーとメデューサの関係でしょう。
ジミーとメデューサの引きされた親子愛は、全話にわたって伏線が敷かれてはいませんでした。第2話で説明してから、第4,10,18話と少し忘れかけられたところで、登場してたぐらいです。しかし、今回の話は今一つ生かされきれなかった伏線を差し引いても名作といえる回です。迫りくる最大の敵、敗北する主役と当時のロボットアニメでは、主役ロボが今回の話ほど叩きのめされる回は類を見ませんでした。武器が通用せず、ドリルで体を貫かれ、腹部が爆発し、顔まで吹っ飛ぶという見事なまでのやられっぷりで、獣魔将軍と戦ったマジンガーZよりも凄いものだったともいえます。
そして、最後多少は都合が良かったものの、メデューサが元の記憶を取り戻し、炎の海に包まれた合身戦隊を救いだし、ジミー再会を果たそうとしたところで、元のサイボーグに戻ってしまう所は、悲劇としか言いようがありません。そして、メデューサは記憶がなかったとはいえ、今までの自分がしてきた行為に衝撃を受け、償いの為、自分ができる最良の手段としてドラゴンドリラーごと自爆してしまうのが、空しさが込みあがってきます。メデューサが自爆した直後、意識を取り戻したジミーは、目の前のブレスレットを見て、愕然として地面に崩れ落ちる。そして母を叫ぶジミーの姿は、悲願がかなわずに終わった一種のやりきれなさが漂います。さらにオズメルからは出来損ないといわれるだけと、メデューサは本当に気の毒としか言えませんでした。
父と子や、兄弟が敵味方に生き分かれるシチュエーションは他のロボットアニメにもちらほら見られます。ちょうど同時期に放送されていたボルテスVは、ボアザンにとらわれた父と、ボアザン側の総司令官・ハイネルを登場させ、伏線を少しずつ展開させて、父と子、兄弟のドラマを締めくくりました。
しかし、母と子が敵味方に分かれたロボットアニメはこれ以外では、今一つ思い浮かびません。確かに伏線は行かせきれなかった所はありますが、母と子の望んでいた願いが、果たせぬまま終わってしまうのは悲劇に違いありません。
生き別れた母と子の運命は再会すら許してくれませんでした。少なくともこのエピソードは、メジャーなロボットアニメの傑作回に引けを取らない回だと思います。


今回の突っ込み
防衛軍の要請に対し、小次郎が反対しますが、貴方、以前同じ理由で反対したジミーを止めたのに、どうして今頃そのような事を言うのでしょうか。第21話で「俺たちを救急車みたいに扱わないでください」といったジミーを抑えていた小次郎が今回「あーあ、えれぇよ、えれぇ。あんたが大将、俺達は子分。どこで死んだかしったこっちゃねぇ!」と、山本長官の前で堂々と言うとは、一体どんな風の吹き回しなんでしょうか。(どうでもいいことですが、このセリフは、クールな皮肉屋を得意としていた曽我部さんの名演が光っています。曽我部さんのファンなら是非聞いてほしいです。)

 個人的評価
 ストーリー まさに悲劇としか言いようがありません。母子のエピソードついに決着がつきました。
キャラクター  小次郎の言動はさておき、母子間の葛藤が身にしみました。とにかく可哀そうです。
 バトル ドラゴンドリラーはやはり強敵。二宮さん担当回ゆえバトルシーンもかなり気合が入っていました
 作画 やはり二宮さんだけあって作画いいです。作画良回3本の指に入るはず。二宮さんに感謝します。

次回予告

俺たちにはもうメカンダーロボはいなかった。だが、敷島博士はメカンダーロボ以上の性能を誇る新しいメカの完成を急いでいた。コンギスターは待ってはくれないのだ。俺たちも、メカが完成するまで、ミカをメカンダーロボの一員に加え、新しいメカ用の攻撃テストに入っていた。そして、俺たちを前に新しいメカが姿を現すのだった!
次回、合身戦隊メカンダーロボ「4体合身メカンダーロボ」にチャンネルトライ!!

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